感覚過敏のある子の生活で起きやすい困りごと|保護者の悩みシリーズ

発達障害のある子どもの中には、音や光、肌触りなどに人一倍敏感で、日常生活の中でつらさを感じやすい子がいます。

たとえば、

  • 大きな音や特定の音に、強い苦痛を感じる
  • 特定の服の素材や、タグの感触を嫌がる
  • 食べられるものが極端に限られている
  • 病院や歯科など、特定の場面で強く抵抗する
  • 周囲からは「気にしすぎ」「わがまま」と見られてしまう
  • 何が苦手なのか、本人もうまく説明できないことがある

といった場面です。

感覚過敏は、性格やわがままではなく、脳が感覚の情報をどう処理しているかという特性の一つです。

私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、感覚過敏への対応は、我慢させることではなく、その子にとっての「つらさ」を理解し、環境を調整することから始まると感じています。

当協会が主催している意見交換会に参加された方の事前アンケートを見ても、感覚過敏に関する声は、多く見られました。

この記事では、一般社団法人 人間力認定協会が開催する意見交換会に寄せられた721名の自由記述をもとに、感覚過敏のある子の生活で起きやすい困りごとについて整理していきます。

>感覚過敏・感覚鈍麻のすべて|種類別×シーン別で理解する完全ガイド【家庭・学校・外出の困りごとと支援】

本記事で紹介している一次情報について

本記事では、児童発達支援士の意見交換会に参加された方から寄せられた自由記述をもとにしています。

項目内容
実施主体一般社団法人 人間力認定協会
対象児童発達支援士 意見交換会の参加者
有効回答数721名
データ取得期間2021年7月~2026年5月
回答形式自由記述
主な回答者属性保護者、保育士、教員、療育施設スタッフ、支援員、祖父母など
質問1児童発達支援士を受講した理由は?
質問2さらに深めたい知識はありますか?
質問3協会にどんな活動を期待しますか?
質問4発達障害児支援に関するエピソード
分析方法自由記述内で多く語られた言葉や文脈をもとに整理

今回の記事では、主に感覚過敏・感覚統合に関する自由記述を中心に扱います。

自由記述を見ると、感覚過敏に関する困りごととして、次のような内容が見られました。

  • 特定の音や光に、強い苦痛を感じることがある
  • 偏食や睡眠など、生活面に影響が出ることがある
  • 病院や歯科など、特定の場面で大きな負担になることがある
  • 特性を知ることで、関わり方が見えてくる

これらの声からは、感覚過敏は本人の我慢や努力で解決するものではなく、周囲の理解と環境の工夫によって、負担を軽くできる部分が大きいことが分かります。

感覚過敏をめぐる4つの困りごと

感覚過敏をめぐる4つの困りごと

自由記述を整理すると、感覚過敏をめぐる困りごとは、大きく4つに分けられます。

ここからは、それぞれについて、実際の声も交えながら見ていきます。

① 特定の音や光に、強い苦痛を感じることがある

感覚過敏のある子どもは、多くの人が気にならない音や光、刺激を、非常に強く感じ取ることがあります。

実際の自由記述にも、具体的な場面に関する声が見られました。

年長の長男が発語が遅い、集団行動が苦手(この2つはだいぶ改善されました)、失敗することを恐れがち、周りからの見られ方をあまり気にしない、感覚過敏(大きな音が苦手、テレビのハラハラするシーン等が苦手)等の特徴があります。

学童で、聴覚過敏のお子様が、軽度自閉症の子も声の大きさに我慢できず、バッファーをつけ、イライラが緩和したことや、触覚過敏の子に、私が間違えて手を握ってしまって嫌がられた失敗談などなど。

これらの声からは、感覚過敏の現れ方は一人ひとり異なり、日常の何気ない場面がその子にとって大きな負担になっていることが分かります。

  • 大きな音、突然の音は、強いストレスになりやすい
  • 映像や光の刺激も、苦手さにつながることがある
  • イヤーマフなどの道具(バッファー)が、負担を軽くする助けになる
  • 触れられることへの苦手さも、感覚過敏の一つの現れ方である

「気にしすぎ」と見過ごさず、その子にとって何が負担になっているかを観察することが、対応の第一歩になります。

② 偏食や睡眠など、生活面に影響が出ることがある

感覚過敏は、音や光だけでなく、食べ物の味・匂い・食感や、眠りの深さにも影響することがあります。

実際の自由記述にも、生活面への影響に関する声が見られました。

場所見知りや人見知り、場面緘黙などコミュニケーションの困難をはじめ、感覚過敏による偏食や睡眠障害など困り事が多く幼稚園入園を半ば諦めていましたが、昨秋に入園する事が出来ました。

この声からは、感覚過敏が、食事や睡眠といった毎日の生活の土台にまで影響を及ぼすことがあると分かります。

  • 偏食は、好き嫌いではなく、感覚的な負担による場合がある
  • 睡眠の質が影響を受けることで、日中の様子にも変化が出ることがある
  • 生活面の困りごとが重なると、集団生活への不安につながりやすい
  • 一つひとつの困りごとを個別に見るのではなく、感覚特性という共通の背景で捉える視点が助けになる

偏食や睡眠の困りごとがあるとき、しつけや習慣の問題として片づけず、感覚特性の影響を視野に入れることが大切です。

③ 病院や歯科など、特定の場面で大きな負担になることがある

感覚過敏があると、医療機関での診察や治療が、大きな負担になることがあります。

実際の自由記述にも、現場での具体的な難しさに関する声が見られました。

発達障害のあるお子様に治療を行う場合、お子様それぞれがお持ちの様々な特性により治療や処置をする事が難しい事があります。歯科診療においては様々な薬品の匂いや機械音、さらには口腔内への器具の挿入など感覚過敏などがあると行うのが難しいものが多いのです。

この声からは、感覚過敏が、健康を守るために必要な場面(通院・治療など)を難しくしてしまうことがあると分かります。

  • 匂い・音・器具の感触など、複数の刺激が重なる場面は特に負担が大きい
  • 事前に流れを伝えておくことで、負担が和らぐことがある
  • 医療従事者側にも、感覚過敏についての理解が求められている
  • 「治療をあきらめる」のではなく、対応方法を一緒に考える姿勢が大切

病院や歯科は避けられない場面だからこそ、事前の準備や配慮が、子どもの負担を大きく左右します。

④ 特性を知ることで、関わり方が見えてくる

感覚過敏について学ぶことで、それまで理解できなかった子どもの行動の意味が見えてくることがあります。

実際の自由記述にも、学びによって気持ちが軽くなったという声が見られました。

感覚統合について少し本を読んだだけでも子どもの行動の意味が分かってきて、気持ちがとても楽になってきています。姿勢を保つことや指先の器用さ、友達とのトラブルなど、根本的なところは本人がカラダの使い方を分かっていないことなのでは、と感じています。

この声からは、感覚過敏や感覚統合について知ることが、子どもへの理解だけでなく、保護者自身の気持ちを軽くすることにもつながると分かります。

  • 「なぜそうするのか」が分かると、対応の仕方も見えてくる
  • 知識を得ることは、保護者自身の安心にもつながる
  • 感覚過敏は、他の困りごと(不器用さ、対人関係など)と関連していることもある
  • 専門的な視点を少しずつ取り入れることで、関わり方に幅が出る

感覚過敏を「困った特性」としてではなく、「その子を理解する手がかり」として捉えることが、関わり方を変えていきます。

>家庭で表れやすい感覚の困りごと|服・食事・入浴・家電音の過敏・鈍麻と支援

感覚過敏は、我慢させるものではない

感覚過敏への対応は、つい「少しずつ慣れさせよう」という発想になりがちです。

しかし、自由記述全体を通して見えてくるのは、無理に慣れさせようとするより、負担そのものを減らす環境調整が、子どもにとって大きな助けになるということです。

  • 苦手な刺激を、完全になくすことは難しくても、減らす工夫はできる
  • イヤーマフや静かな場所など、逃げ場を用意しておく
  • 「我慢できるかどうか」ではなく、「負担をどう減らせるか」を考える
  • 感覚過敏の程度や現れ方は、一人ひとり大きく異なる

我慢を求めるのではなく、負担を減らす工夫を重ねていくことが、感覚過敏との付き合い方の基本になります。

家庭・園・学校・医療機関で、感覚特性を共有する

感覚過敏への配慮は、家庭だけで完結するものではありません。

  • 家庭で分かった「苦手な刺激」を、園や学校、医療機関にも伝える
  • 通院前に、どのような刺激があるかを事前に確認しておく
  • 園や学校での配慮事例を、家庭でも参考にする
  • 感覚特性は、その子を理解するための重要な情報として関係者間で共有する

立場を越えて感覚特性の情報を共有することで、子どもがさまざまな場面で安心して過ごせる環境に近づいていきます。

感覚過敏をめぐる困りごとの整理

困りごとの傾向関わりで大切にしたい視点
特定の音や光に、強い苦痛を感じることがあるその子にとって何が負担になっているかを観察する
偏食や睡眠など、生活面に影響が出ることがあるしつけの問題ではなく、感覚特性の影響として捉える
病院や歯科など、特定の場面で大きな負担になることがある事前の準備や配慮で、負担を和らげる
特性を知ることで、関わり方が見えてくる知識を得ることを、子どもと保護者双方の助けにする

家庭での関わりを整えるために役立つ学び

子どもの感覚過敏は、発達特性だけでなく、環境・関わり方・本人の感じ方や経験など、さまざまな要因が複雑に関係しています。

そのため、「なぜこんなに嫌がるのか分からない」と感じたときは、保護者や支援者だけで抱え込まず、発達支援に関する知識や考え方を少しずつ学んでいくことも大切です。

実際には、

  • 発達障害や感覚特性に関する書籍を読む
  • 療育施設や支援機関に相談する
  • 保護者会や経験者の声を参考にする
  • 専門資格や研修で体系的に学ぶ

など、さまざまな学び方があります。

大切なのは、「子どもを無理に変える方法」を探すことではなく、子どもの特性や困りごとの背景を理解し、少しでも生活の負担を減らせる工夫を見つけていく視点を持つことです。

一般社団法人 人間力認定協会の「児童発達支援士」でも、

  • 発達特性の理解
  • 行動の背景を読み解く視点
  • 環境調整の基本
  • 保護者支援やコミュニケーション
  • 家庭や支援現場で活かしやすい支援の考え方

などを体系的に学ぶことができます。

「完璧な支援」を目指す必要はありません。

まずは、”なぜこの行動が起きるのか”を知ることが、感覚過敏のある子との関わり方を穏やかに変えていく第一歩になります。

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Q&A|感覚過敏のある子の生活で起きやすい困りごとに関するよくある質問

Q1:感覚過敏は、しつけで改善できるものですか?

感覚過敏は、脳が感覚情報をどう処理するかという特性であり、しつけや慣れによって解決するものではありません。負担そのものを減らす環境調整が、対応の基本になります。

Q2:偏食が激しいのは、わがままなのでしょうか?

わがままではなく、味・匂い・食感などへの感覚的な負担が背景にある場合があります。無理に食べさせようとせず、食べられるものを少しずつ広げていく視点が助けになります。

Q3:病院や歯科での治療が難しいとき、どうすればよいですか?

事前に治療の流れや使う器具について伝えておくことで、負担が和らぐことがあります。可能であれば、感覚過敏への理解がある医療機関を探すことも一つの方法です。

Q4:感覚過敏がある子には、どんな環境調整が有効ですか?

イヤーマフなどで音を軽減する、静かな場所を確保するなど、苦手な刺激を減らす工夫が有効です。その子が何を苦手としているかを観察し、少しずつ調整していくことが大切です。

Q5:感覚過敏について、まず何から学べばよいですか?

感覚統合に関する書籍や講座から学び始める方法があります。特性を知ることで、それまで理解できなかった子どもの行動の意味が見えてくることがあります。

まとめ|感覚過敏は、理解と環境調整で負担を減らせる

当協会が主催している意見交換会に参加された方の事前アンケートを見ると、感覚過敏に、多くの保護者・支援者が悩んでいることが分かりました。

自由記述では、

  • 特定の音や光に、強い苦痛を感じることがある
  • 偏食や睡眠など、生活面に影響が出ることがある
  • 病院や歯科など、特定の場面で大きな負担になることがある
  • 特性を知ることで、関わり方が見えてくる

といった声が見られました。

感覚過敏は、性格やわがままではなく、その子の感覚の特性です。

我慢させることを目指すのではなく、負担を減らす環境調整や、周囲の理解を積み重ねていくことが、子どもにとっても保護者にとっても、過ごしやすい毎日につながっていきます。

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、一般社団法人 人間力認定協会が開催する意見交換会に参加された保護者・支援者の実際の声をもとにまとめています。子どもの特性や発達の状況、家庭環境、支援との相性、感じ方には個人差があり、すべての子どもに同じ変化や結果が見られるわけではありません。支援方法や対応について判断する際は、必要に応じて医師・専門家・支援機関などと相談しながら進めてください。この記事は、保護者や支援者が理解や選択の参考にするための情報としてご活用ください。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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