友達とのトラブルを防ぐ「ソーシャルストーリー法」

初めての場所や新しいルールに直面すると、どう振る舞えばいいか分からずパニックになってしまう。そんなお子さんに向けて、事前に短い物語で見通しを持たせる「ソーシャルストーリー法」をご紹介します。

こんなお子さんにおすすめです

  • 初めての場面や新しいルールに強い不安を感じる
  • 何が起きるか予測できないと、パニックや癇癪になりやすい
  • 口頭での説明だけでは、場面をイメージしにくい
  • 決まった行事(発表会、避難訓練など)の前になると不安定になる

これは聞き分けの悪さではなく、「その場面で何が起き、どう振る舞えばいいか」を事前にイメージする材料が不足していることが背景にある場合があります。

この療育でできるようになること

これから起こる場面を、主人公目線の短い物語として事前に伝えることで、見通しを持たせ、不安やトラブルを減らしていく方法です。特別な教材がなくても、紙やノートがあれば今日から作れます。

ソーシャルストーリー法 実践ステップ

ソーシャルストーリー法 実践ステップ

Step1:トラブルが起きやすい場面を1つ選ぶ

「新しい場所に行く」「順番を交代する」など、不安やトラブルが起きやすい場面を1つに絞ります。一度に複数の場面を詰め込まないことがポイントです。

Step2:主人公目線の短い物語にする

「〇〇くんは、今日新しいお部屋に行きます。最初はドキドキするかもしれません。でも、先生が『こんにちは』と言ってくれます」のように、だれが・いつ・何をするか・なぜそうするといいかを、肯定的な言葉で短くまとめます。

Step3:場面が起きる前に、繰り返し一緒に読む

イベントの数日前から、本人と一緒に物語を読みます。絵や写真を添えると、よりイメージしやすくなります。

Step4:実際の場面の直前にも軽くおさらいする

当日、場面に入る直前にもう一度さらっと読み返します。「さっき読んだお話と同じだね」と確認することで、安心感につながります。

実践時の注意点

  • 物語は否定的な表現を避け、肯定的なトーンで書く:「怒ってはいけません」ではなく「落ち着いて待てるとかっこいいね」のように伝える
  • 1つの物語に複数の教訓を詰め込みすぎない
  • 効果の出方には個人差があり、すぐに変化が見えないこともあります。焦らず様子を見ながら続けてください

ソーシャルストーリー法が効果的な理由

ソーシャルストーリーは、1990年代からアメリカで提唱され、自閉スペクトラム症のある子どもへの社会的スキル支援として広く使われてきた手法です。家族が中心となって物語を作成し実践した海外の研究では、問題行動を減らすことを目的とした物語で約65%、コミュニケーションを促すことを目的とした物語で約53%のケースで、保護者が効果を感じたと報告されています。

一方で、複数の研究をまとめた分析では、効果の大きさは研究によってばらつきがあり、すべてのケースで明確な効果が確認されているわけではないことも分かっています。つまり、ソーシャルストーリー法は「誰にでも必ず効く魔法の方法」ではなく、子どもの特性や場面によって効果に差が出ることを前提に、他の方法と組み合わせながら試していくことが大切だといえます。

物語という形で事前に見通しを伝えるという考え方は、以前ご紹介した聴覚過敏の子に効果がある「予告+防音具活用法」の「予告」の発想とも共通しています。あわせてご覧いただくと、見通しを持たせる関わり方全般への理解が深まります。

ソーシャルストーリー法に関するよくある質問

Q. 物語はどのくらいの長さがいいですか?

短いほど効果的とされています。年齢や理解度に応じて、数文から数十文程度を目安にしてください。

Q. 絵が描けなくても作れますか?

問題ありません。文字だけでも構いませんし、写真やイラスト素材を使う方法もあります。大切なのは分かりやすさです。

Q. 何回くらい読めば効果がありますか?

回数に明確な決まりはありません。本人が内容を覚えてくるくらいまで、場面の前に繰り返し読むのが基本です。

Q. 効果が感じられない場合はどうすればいいですか?

物語の内容が複雑すぎないか、本人にとって身近な言葉になっているかを見直してみてください。それでも変化がなければ、他の方法(モデリングなど)と組み合わせることも検討してください。

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一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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