学習障害(LD)のある子どもへの学習支援は、学校での合理的配慮だけでなく、家庭での工夫によっても、大きく変わっていきます。
たとえば、
- 視覚的な補助具を、家庭でも活用することができる
- 本人のペースに合わせて、焦らず取り組む姿勢が大切
- 遊びの延長として、文字や数字に触れる機会をつくることができる
- 無理に「できるようにする」ことより、楽しく取り組める工夫が力になる
といった視点です。
家庭学習の目的は、学校の勉強を補うことだけでなく、子どもが「学ぶことは楽しい」と感じられる経験を積み重ねることです。
この記事では、学習障害の子への家庭学習の工夫について、一般的な知識に加え、当協会に寄せられた保護者の方々の体験談をもとに整理していきます。
>学習障害への気づきの遅れが、二次障害につながることも|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ
目次
本記事で紹介している情報について
本記事は、家庭学習の工夫に関する一般的な知識を中心に、当協会が収集した体験談(療育施設利用に関するエピソード、感覚過敏・鈍麻に関するエピソード)の中から、家庭での学習支援に関する記述を交えて構成しています。
| 項目 | 内容 |
| 情報の性質 | 家庭学習の工夫に関する一般的な知識+当協会体験談アンケートより抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 参照した体験談 | 療育施設利用エピソード、感覚過敏・鈍麻エピソードの中から、家庭学習に関する記述を抽出 |
| 注意点 | 子どもの特性や状況には個人差があるため、一つの方法がすべての子どもに合うとは限りません |
視覚的な補助具を、家庭でも活用する

学校で使われる視覚的な補助具は、家庭学習でも取り入れることができます。
実際の体験談にも、そうした活用に関する声が見られました。
白い紙に書いてある文字が光って読みにくい。文字が見えにくい為、合理的配慮をもらい、試験時間延長やリーディングルーラーを使用して文字をよむ。眩しい人は遮光レンズの周りから光が入りにくい眼鏡をかけている。
この声からは、学校で使われている配慮の道具(リーディングルーラー、遮光レンズなど)を、家庭学習の場面でも同じように活用できることが分かります。
- 学校で有効だった道具は、家庭でも同じように使うことができる
- リーディングルーラー(行だけを見せる道具)は、文字を目で追う負担を減らす
- 遮光レンズや、照明の調整も、読みやすさに影響する
- 学校と家庭で同じ道具を使うことで、子どもも安心して取り組める
学校で見つかった有効な工夫を、家庭でも一貫して取り入れることが、子どもの負担を減らす助けになります。
>学習障害の子が学校で受けられる「合理的配慮」の実例|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ
本人のペースに合わせて、焦らず取り組む
学習障害のある子どもにとって、周囲と同じペースを求めず、本人に合った速さで取り組むことが、学びへの前向きな気持ちを支えます。
実際の体験談にも、そうした関わり方に関する声が見られました。
個別療育ではなかなか読み書きが難しいが、本人のペースに合わせた内容を組んでくれたので焦る事無く本人も楽しく勉強が出来た。その子に合った療育方法を施設の方と話をして、困り事なども積極的に伝えていました。
この声からは、周囲と比較せず、その子に合ったペースで進めることで、学習そのものを楽しめるようになった様子が分かります。
- 「みんなと同じペース」を目指すことが、必ずしも良い結果につながるとは限らない
- 本人のペースに合わせることで、学習そのものへの意欲を保ちやすくなる
- 困りごとを、施設や学校の先生に積極的に伝えることが、ペースに合った支援につながる
- 家庭でも、周囲と比較せず、その子自身の成長に目を向ける姿勢が大切
本人のペースを尊重することは、遠回りに見えても、長い目で見て学習への前向きな姿勢を育てる近道になります。
>子どもが安心して育つために|1〜6歳の発達支援で大切にしたい「環境づくり」
遊びの延長として、文字や数字に触れる機会をつくる
文字や数字への抵抗感を減らすために、遊びを通じて自然に触れる機会をつくることが、効果的な場合があります。
実際の体験談にも、そうした工夫の効果に関する声が見られました。
個別で月1回、先生1人で5つの課題(トランポリン、絵本、すごろくなど)に取り組みました。ひらがなの書き順の歌などを聞いた後になぞりをしたり、ブロックパズルや100玉そろばん、数字のうたなどをしました。文字、数字に全く興味が無かった息子が、自分から家でも文字を書いてくれたりと明らかな成長が見られました。文字も読んでくれることが増えビックリでした。
この声からは、すごろくや歌、パズルといった遊びの要素を取り入れることで、文字や数字への抵抗感が薄れ、自発的な学びにつながったことが分かります。
- ドリルやプリントだけでなく、遊びを通じた学びも有効な方法の一つ
- 歌やリズムに乗せることで、文字や数字を覚えやすくなることがある
- 「勉強」という意識を持たせずに取り組めることが、抵抗感を減らす
- 家庭でも、すごろくやカードゲームなど、遊びの延長で取り入れられる工夫がある
遊びの中に学びの要素を取り入れることは、学習障害のある子どもにとって、無理のない学びの入り口になります。
家庭学習の工夫の整理
| 工夫の傾向 | 具体例 |
| 視覚的な補助具の活用 | リーディングルーラー、遮光レンズなど、学校と同じ道具を家庭でも使う |
| 本人のペースに合わせる | 周囲と比較せず、その子に合った速さで取り組む |
| 遊びの延長としての学び | すごろく、歌、パズルなど、遊びを通じて文字・数字に触れる |
児童発達支援士について
ここまで、学習障害の子への家庭学習の工夫についてご紹介してきました。
こうした特性への理解を深めることと合わせて、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|学習障害の子への家庭学習の工夫に関するよくある質問
Q1:家庭学習では、まず何から始めればよいですか?
学校で有効だった配慮や道具を、家庭でも同じように取り入れることから始めるのがおすすめです。学校との情報共有も大切にしてください。
Q2:無理に勉強させることに抵抗があります。どう考えればよいですか?
遊びの延長として、文字や数字に触れる機会をつくることも、有効な学びの形です。「勉強」という意識を持たせすぎない工夫も大切です。
Q3:本人のペースに合わせると、周囲との差が心配になります。
周囲と比較するより、その子自身の成長に目を向けることが大切です。焦らず取り組むことが、結果的に学習への前向きな姿勢を育てます。
Q4:家庭でどんな道具を使えばよいですか?
リーディングルーラー、遮光レンズ、視覚的なカードなど、学校で有効だった道具を確認し、家庭でも同じものを取り入れることをおすすめします。
Q5:家庭学習の工夫は、どこで相談できますか?
療育施設や、学校の特別支援教育コーディネーター、専門機関などに相談することで、その子に合った工夫のヒントが得られることがあります。
まとめ|家庭学習は、「学ぶことは楽しい」という経験の積み重ね
学習障害の子への家庭学習は、学校の勉強を補うことだけが目的ではありません。
- 視覚的な補助具を、家庭でも活用することができる
- 本人のペースに合わせて、焦らず取り組むことが大切
- 遊びの延長として、文字や数字に触れる機会をつくることができる
「学ぶことは楽しい」という経験を積み重ねることが、学習障害のある子どもにとって、長い目で見た学びへの意欲を支えていきます。次回は、学習障害のある子の受験について、進路選択で大切にしたいことを取り上げます。
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、家庭学習の工夫に関する一般的な知識と、当協会が収集した体験談の一部をもとにまとめています。子どもの特性や状況には個人差があるため、一つの方法がすべての子どもに合うとは限りません。学習方法に迷う場合は、学校や専門機関にご相談ください。


