学習障害の子が学校で受けられる「合理的配慮」の実例|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ

学習障害(LD)のある子どもにとって、学校での「合理的配慮」は、学びやすさを大きく左右します。ただ、実際にどんな配慮が受けられるのか、具体的なイメージが湧かない保護者も多いのではないでしょうか。

たとえば、

  • テストの出題形式を変えてもらうことで、力を発揮できることがある
  • タブレットなどのICT機器が、学習の助けになることがある
  • 時間や環境面の配慮が、学びやすさを大きく変えることがある
  • 配慮の有無や質は、学校や担任によって差があることも多い

といった実例です。

合理的配慮は、特別扱いではなく、その子が本来の力を発揮するための「土台を整える」ことです。

この記事では、学習障害の子が学校で受けられる合理的配慮について、一般的な知識に加え、当協会に寄せられた保護者の方々の体験談をもとに、具体的な実例を紹介していきます。

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本記事で紹介している情報について

本記事は、合理的配慮に関する一般的な知識を中心に、当協会が収集した体験談(子どもの二次障害に関するエピソード、受験時の困った経験談、通級・特別支援級の利用に関するエピソード)の中から、具体的な配慮の実例に関する声を交えて構成しています。

項目内容
情報の性質合理的配慮に関する一般的な知識+当協会体験談アンケートより抜粋
データ取得者一般社団法人 人間力認定協会
参照した体験談子どもの二次障害に関するエピソード、受験時の困った経験談、通級・特別支援級利用エピソードの中から、配慮の実例に関する記述を抽出
注意点合理的配慮の内容は学校・自治体によって異なるため、一般的な傾向として紹介しています

合理的配慮とは

合理的配慮とは

合理的配慮とは、障害のある子どもが、他の子どもと同じように教育を受けられるよう、学校が個々の状況に応じて行う、必要かつ適切な変更・調整のことです。

  • 障害者差別解消法などの法律に基づき、学校には合理的配慮を提供する努力義務・法的義務がある
  • 一律の「特別扱い」ではなく、その子の困りごとに応じた個別の調整である
  • 保護者からの申し出をきっかけに、学校と相談しながら内容を決めていくことが一般的
  • 配慮の内容は、テストの形式、時間、環境、ICT機器の活用など、多岐にわたる

合理的配慮は、その子にとって「有利になる特別扱い」ではなく、他の子どもと同じスタートラインに立つための調整です。

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テストの出題形式を変える配慮

学習障害のある子どもにとって、テストの出題形式そのものを変えることが、大きな支援になることがあります。

実際の体験談にも、そうした配慮の効果に関する声が見られました。

漢字を想起することができないため漢字テストではいつも一人だけ0点を取り、自信を失い漢字に限らず学習が辛くなってしまいました。漢字テストを想起して書くテストではなく、ヒントカードの選択肢から選択するテストにしてもらうことで、漢字に対する自信と漢字以外の学習についての意欲を取り戻すことができました。

この声からは、「書いて思い出す」形式から「選んで答える」形式へと出題方法を変えるだけで、子どもの自信や学習意欲が大きく回復したことが分かります。

  • 出題形式を変えることは、学習内容の難易度を下げることとは異なる
  • 「思い出して書く」ことが難しくても、「見て選ぶ」ことならできる場合がある
  • 一つの配慮が、その教科だけでなく、学習全体への意欲にも良い影響を与えることがある
  • 学校への相談時には、具体的な代替形式を提案することが有効な場合がある

出題形式の工夫は、子どもの本来の理解力を、正しく測るための大切な配慮です。

ICT機器・タブレットを活用した配慮

タブレットなどのICT機器を活用することで、学習面の困難を補いながら、学びを続けられた例もあります。

実際の体験談にも、そうした活用に関する声が見られました。

学習障害まではないけど、長文だと何をすべきかわからなくなる、計算、公式、漢字や英語のスペルが覚えられない。英語については中一で全くやる気を失った。頻繁に教育相談を聞いて、校長や担任に伝えて、成績表や支援学級で工夫した授業をしてもらった。英語はタブレットを使ったり、マークシートで比較的得意なヒアリングもある英検を受験させて少し自信をもたせたり。英語、数学、漢字は小テストを増やしてもらった。

この声からは、タブレットの活用や、得意分野(ヒアリング)を活かせる試験形式の選択が、子どもの自信を取り戻すきっかけになったことが分かります。

  • タブレットは、書くこと・読むことの負担を軽減する道具として活用できる
  • 「苦手なことを克服する」だけでなく、「得意なことを活かす」視点も大切
  • 小テストの回数を増やすなど、頻度や形式を調整する配慮もある
  • 教育相談を継続的に利用し、学校との対話を重ねることが配慮につながる

ICT機器の活用は、学習障害のある子どもにとって、大きな可能性を広げる選択肢の一つです。

時間・環境面の配慮

テストの時間や、教室での過ごし方といった環境面の配慮も、学びやすさを大きく左右します。

実際の体験談にも、そうした配慮に関する声が見られました。

集中が続かないので、適宜休憩を入れてもらえたり、視覚情報で指示を出してもらえたりできる。

何においても事前説明の配慮があり、教室移動やテストの時間の配慮、宿題や板書の融通、時間がかかってもきちんと息子の話を聞いてくれるなど。

これらの声からは、休憩のタイミングや、テストの時間、宿題の量など、日常のさまざまな場面での小さな調整の積み重ねが、子どもにとって大きな支えになっていることが分かります。

  • 休憩を適宜挟むことが、集中力を保つ助けになる
  • 視覚的な指示は、聞くだけでは伝わりにくい情報を補う
  • テストの時間延長や、宿題・板書の量の調整も、代表的な配慮の一つ
  • 「事前に説明してもらえる」という見通しの提供自体が、大きな安心につながる

時間・環境面の配慮は、特別な道具がなくても、学校側の工夫次第で実現できるものが多くあります。

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配慮の質は、学校や担任によって差があることも

合理的配慮は制度として存在していても、実際にどこまで対応してもらえるかは、学校や担任によって差が出やすい現実があります。

  • 同じ制度であっても、学校ごと、担任ごとに対応の丁寧さは異なる
  • 配慮を求める際は、具体的な困りごとと、希望する対応を、できるだけ明確に伝えることが助けになる
  • エビデンスや他校の実践事例を示すことで、学校側が対応しやすくなることがある
  • 一度で理想的な配慮が得られなくても、対話を重ねることで少しずつ改善していくことがある

配慮の差があることを前提に、粘り強く対話を重ねていく姿勢が、子どもに合った学びの環境を築いていく力になります。

合理的配慮の実例整理

配慮の種類具体例
出題形式の変更記述式からヒントカード選択式への変更
ICT機器の活用タブレットの利用、得意分野を活かせる試験形式の選択
時間・環境面の配慮休憩の導入、視覚的指示、テスト時間の延長、宿題・板書の融通

児童発達支援士について

ここまで、学習障害の子が学校で受けられる合理的配慮の実例についてご紹介してきました。

こうした特性への理解を深めることと合わせて、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。

資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

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Q&A|合理的配慮に関するよくある質問

Q1:合理的配慮は、診断がないと受けられませんか?

診断がなくても、学校の判断で配慮が行われることがあります。まずは学校に相談し、困りごとを具体的に伝えることをおすすめします。

Q2:どうやって配慮をお願いすればよいですか?

具体的な困りごとの場面と、希望する対応を、できるだけ明確に伝えることが助けになります。エビデンスや他校の実践事例を示すことも有効です。

Q3:タブレットの活用は、どの教科でも可能ですか?

学校や自治体の方針によって異なります。まずは学校に相談し、可能な範囲を確認することをおすすめします。

Q4:担任が変わると、配慮の内容も変わりますか?

変わることがあります。担任や学校が変わるタイミングでは、あらためて配慮の内容について話し合う機会を持つことをおすすめします。

Q5:配慮をお願いしても対応してもらえないとき、どうすればよいですか?

一度で結論を出さず、繰り返し相談することが大切です。エビデンスや他校の事例を示す、教育委員会に相談するなど、段階的に働きかける方法もあります。

まとめ|合理的配慮は、本来の力を発揮するための土台

合理的配慮は、学習障害のある子どもが、他の子どもと同じスタートラインに立つための、必要な調整です。

  • テストの出題形式を変える配慮が、自信や意欲の回復につながることがある
  • ICT機器の活用が、学習面の困難を補う助けになる
  • 時間・環境面の小さな配慮の積み重ねが、大きな支えになる

配慮の質には学校差があることを前提に、具体的な困りごとを伝え、対話を重ねていくことが、子どもに合った学びの環境を築いていく力になります。次回は、学習障害への気づきの遅れが、二次障害につながってしまうケースについて取り上げます。

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、合理的配慮に関する一般的な知識と、当協会が収集した体験談の一部をもとにまとめています。合理的配慮の内容・提供体制は学校・自治体によって異なります。実際の配慮の申請については、在籍する学校や教育委員会に直接ご確認ください。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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