学習障害(LD)は気づかれにくい特性だからこそ、その気づきが遅れることで、子どもの心に大きな負担がかかり続けてしまうことがあります。
たとえば、
- 「サボっている」という誤解が積み重なり、心身の不調につながることがある
- 学校側の配慮が届かないまま、不登校に至ってしまうことがある
- 気づかれないまま過ごす時間が長いほど、負担も長く続いてしまう
- 早期の気づきが、その後の状況を大きく左右する
といった現実があります。
学習障害そのものは、二次障害を引き起こす直接の原因ではありません。気づかれず、理解されないまま過ごす時間の長さが、子どもを追い詰めていきます。
この記事では、学習障害への気づきの遅れが二次障害につながってしまうケースについて、当協会に寄せられた保護者の方々の体験談をもとに整理していきます。今回は内容の性質上、特に配慮しながら、実際の困難とその背景を紹介していきます。
>学習障害の子が学校で受けられる「合理的配慮」の実例|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ
目次
本記事で紹介している情報について
本記事は、学習障害と二次障害の関係に関する一般的な知識を中心に、当協会が収集した体験談(子どもの二次障害に関するエピソード)の中から、学習障害に関連する記述を交えて構成しています。
| 項目 | 内容 |
| 情報の性質 | 二次障害に関する一般的な知識+当協会体験談アンケートより抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 参照した体験談 | 子どもの二次障害に関するエピソードの中から、学習障害に関する記述を抽出 |
| 注意点 | 内容には、不登校など、子どもの心身に大きな負担が生じた事例を含みます。診断や治療方針については、必ず医師や専門機関にご相談ください |
二次障害とは

二次障害とは、発達障害そのものではなく、その特性が周囲に理解されない中で、叱責や失敗の積み重ねなどのストレスにさらされ続けることで、後から現れる心身の不調のことです。
- 不安障害、うつ、不登校などの「内在化障害」と、暴言・暴力などの「外在化障害」に大きく分けられる
- 発達障害の特性そのものよりも、周囲の理解不足や対応の積み重ねが、大きな要因になる
- 学習障害は気づかれにくいため、二次障害につながりやすい特性の一つとされている
- 早期の気づきと適切な支援が、二次障害の予防につながる可能性がある
「サボっている」という誤解が、心身の不調につながることがある
学習面でのつまずきが「サボっている」と誤解され続けると、子どもは無意識のうちにストレスを抱え込んでしまうことがあります。
実際の体験談にも、そうした心身への影響に関する声が見られました。
学校の授業についていけず、勉強すること自体が嫌になってしまいました。また、勉強の仕方もわからない、習ったことをすぐに忘れてしまう。不安定になると、チックが出てしまう。薬でコントロールはできているものの、薬の影響かわかりませんが、爪をかんでしまいます。何とか自分で落ち着かせようとして無意識な行動です。
この声からは、学習面でのつまずきが積み重なることで、本人も気づかないうちに、チックや爪をかむといった行動として、ストレスが表れていることが分かります。
- 学習のつまずきが続くと、無意識の行動としてストレスが表れることがある
- 「なぜできないのか」が分からないまま過ごすことは、大人にとっても子どもにとっても大きな負担になる
- チックや爪をかむなどの行動は、心身のサインとして受け止める視点が必要
- 早めに専門機関に相談することで、背景にある学習障害に気づけることがある
無意識の行動として現れるサインは、子どもが言葉にできない苦しさを、体を通して伝えているものかもしれません。
>ディスレクシア(読み書き障害)とは?気づきにくいサインと支援|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ
学校側の配慮が届かないまま、状況が深刻化することがある
学習障害への理解や配慮が学校側に十分に届かないまま、状況が深刻化してしまうケースもあります。
実際の体験談にも、そうした経過に関する声が見られました。
ことばの遅れがありうまく伝えられないことを担任の先生に伝えていたのですが、トラブルがあった際にうまく説明できず黙っていたら、廊下に放置され、その後他の児童と体育館に行ってしまい置き去りにされてしまいました。廊下に放置されて以来、学校に行きたくないと不登校になりました。通信制の高校に進学するが、書字障害がある息子にタブレットに字を書いて課題をやりなさいと言われ、紙で対応してもらえないか聞くとだめの一点張りで、泣く泣く休学しました。学校側には担任決定時に面談をし、配慮を受けられるよう説明をしてきたにも関わらず、二次障害を防ぐことができませんでした。
この声からは、事前に配慮を求めていたにもかかわらず、実際の対応がそれに追いつかず、深刻な状況に至ってしまった経緯が分かります。
- 事前に配慮を伝えていても、実際の対応にはつながらないことがある
- 一つの対応の失敗(この場合は代替手段を認めないこと)が、大きな影響を及ぼすことがある
- 書字障害がある子どもにとって、「タブレットに字を書く」という代替手段が機能しないこともある(配慮の内容が本人に合っていない場合がある)
- 配慮は「用意すれば終わり」ではなく、本人に合っているかを継続的に確認する必要がある
配慮を求めることと、それが実際に機能することの間には、大きな距離があることを、この声は伝えています。
早期の気づきが、状況を大きく左右する
これまでのシリーズでも紹介してきた通り、学習障害への早期の気づきと適切な支援は、その後の子どもの状況を大きく左右します。
- 気づかれないまま過ごす時間が長いほど、子どもの負担も長く積み重なっていく
- 「なぜできないのか」という背景に、早い段階で目を向けることが大切
- 学校での配慮は、一度整えて終わりではなく、本人に合っているかを継続的に見直す必要がある
- 一つの対応がうまくいかなかったときも、別の方法を模索し続ける姿勢が大切
早期の気づきは、子どもが「分かってもらえない」まま過ごす時間を短くする、何よりの予防策です。
学習障害と二次障害をめぐる整理
| 場面 | 大切にしたい視点 |
| 「サボっている」という誤解 | チックや爪をかむなど、無意識の行動をサインとして受け止める |
| 配慮が届かないまま深刻化する | 配慮の内容が本人に合っているかを継続的に確認する |
| 早期の気づき | 気づかれない時間を短くすることが、何よりの予防策になる |
児童発達支援士について
ここまで、学習障害への気づきの遅れが二次障害につながるケースについてご紹介してきました。
こうした特性への理解を深めることと合わせて、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|学習障害と二次障害の関係に関するよくある質問
Q1:学習障害があると、必ず二次障害につながりますか?
必ずしもそうではありません。早期の気づきと適切な支援があれば、二次障害を防げる可能性は高まります。学習障害そのものより、気づかれない期間の長さが大きく影響します。
Q2:チックや爪をかむなどの行動は、二次障害のサインですか?
一つのサインとして受け止める価値があります。ただし、原因はさまざまなため、気になる場合は医師や専門機関に相談することをおすすめします。
Q3:学校に配慮をお願いしても対応が不十分なとき、どうすればよいですか?
一度で結論を出さず、繰り返し相談することが大切です。配慮の内容が本人に合っているかを確認し、合っていない場合は代替案を提案することも有効です。
Q4:不登校になってしまった場合、どう対応すればよいですか?
学校に戻すことだけを目標にせず、その子に合った学びの場を探すことも一つの選択肢です。詳しくは学校生活シリーズの関連記事もあわせてご覧ください。
Q5:二次障害が心配なとき、どこに相談すればよいですか?
学校のスクールカウンセラー、医療機関(小児科、児童精神科)、発達支援センターなどに相談することをおすすめします。気になる様子があれば、早めの相談が大切です。
まとめ|気づかれない時間の長さが、子どもを追い詰める
学習障害そのものが、二次障害の直接の原因になるわけではありません。気づかれず、理解されないまま過ごす時間の長さが、子どもの心に負担を積み重ねていきます。
- 「サボっている」という誤解が、無意識の行動としてストレスに表れることがある
- 学校側の配慮が届かないまま、状況が深刻化することがある
- 早期の気づきが、その後の状況を大きく左右する
学習障害への気づきを早め、配慮が実際に機能しているかを継続的に確認していくことが、子どもを二次障害から守る、何よりの支援になります。次回は、学習障害の子への家庭学習の工夫について取り上げます。
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、学習障害と二次障害に関する一般的な知識と、当協会が収集した体験談の一部をもとにまとめています。内容には、不登校など、子どもの心身に大きな負担が生じた事例を含みます。子どもの特性や状況には個人差があり、すべての子どもに同じ結果が見られるわけではありません。気になる兆候がある場合は、早めに医師・専門家・学校・支援機関にご相談ください。この記事は理解や選択の参考としてご活用いただき、個別の判断は専門家とともに行ってください。


