ディスレクシア(読み書き障害)とは?気づきにくいサインと支援|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ

学習障害(LD)の中でも、特に多く知られているのが「ディスレクシア(読み書き障害)」です。読むこと・書くことに困難があるこの特性は、気づかれないまま進級してしまうことも少なくありません。

たとえば、

  • 音読になると、極端に時間がかかったり、詰まったりしてしまう
  • 文字を目で追うことに、大きな負担を感じている
  • 高校生になって初めて、ディスレクシアと診断されることもある
  • 視覚的な感覚過敏が、読みにくさに重なっていることもある
  • 気づかれないまま学校生活を送ると、大きな苦しさにつながることがある

といった特徴です。

ディスレクシアは、知的な能力とは関係のない、「文字の情報処理」に特有の困難です。

この記事では、ディスレクシアに関する一般的な知識に加えて、当協会に寄せられた保護者・支援者の方々の体験談も交えながら、気づきにくいサインと支援について整理していきます。

>学習障害(LD)とは?特徴とサインを知る|学習障害(LD)の子と向き合うシリーズ

本記事で紹介している情報について

本記事は、ディスレクシアに関する一般的な知識を中心に、当協会が収集した体験談(子どもの二次障害に関するエピソード、感覚過敏・鈍麻に関するエピソード)の中から、ディスレクシアに触れた実際の声を交えて構成しています。

項目内容
情報の性質ディスレクシアに関する一般的な知識+当協会体験談アンケートより抜粋
データ取得者一般社団法人 人間力認定協会
参照した体験談子どもの二次障害に関するエピソード、感覚過敏・鈍麻に関するエピソードの中から、ディスレクシアに関する記述を抽出
注意点診断や医学的な判断については、必ず医療機関にご相談ください

ディスレクシア(読み書き障害)とは

ディスレクシア(読み書き障害)とは

ディスレクシアとは、学習障害(LD)の中でも代表的なタイプの一つで、文字を読むこと、あるいは読んだ文字を正確に音や意味に変換することに、著しい困難がある特性です。

  • 「読字障害」とも呼ばれ、書字(書くこと)の困難を伴うこともある
  • 知的能力や視力そのものに問題があるわけではない
  • 文字の形は見えていても、それを音として認識・処理する過程に困難がある
  • 音読の遅さ、読み間違いの多さなどとして現れることが多い

ディスレクシアは、本人の努力不足ではなく、脳が文字情報をどう処理するかという特性の違いによるものです。

読みにくさが、視覚的な感覚と重なっていることもある

ディスレクシアによる読みにくさは、視覚過敏など、他の感覚特性と重なって現れることがあります。

実際の体験談にも、そうした重なりに関する声が見られました。

視覚過敏、特に光過敏で白い物が光って見えるため眩しくて疲れるのと、LEDの光は白熱灯より眩しくて、電気で照らされた白い紙に書いている文字が特に見えにくい。白い紙のテストは眩しくて問題を読むのが大変。しかもディスレクシアもあるため時間内に解答をかききれない。光過敏には遮光レンズを常にかけるようにする。眩しさは軽減され、白い紙はそこまで眩しく感じなくなった。リーディングルーラーを使って文字を読む。

この声からは、ディスレクシアによる読みにくさが、光の眩しさなど、他の感覚的な要因によってさらに強まることがあると分かります。

  • ディスレクシアは、視覚過敏など他の感覚特性と併存することがある
  • 白い紙の眩しさが、文字の読みにくさを増幅させることがある
  • 遮光レンズや、行だけを見せる「リーディングルーラー」などの道具が、読みやすさを助けることがある
  • 一人ひとりに合った道具や環境の工夫を見つけることが大切

読みにくさの背景を「文字の困難」だけでなく、感覚面も含めて総合的に見ることが、有効な支援につながります。

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気づかれないまま進級すると、大きな困難につながることがある

ディスレクシアは、低学年のうちは大きな問題として表面化せず、学年が上がってから、急に困難が顕在化することがあります。

実際の体験談にも、そうした経過に関する声が見られました。

高校になってから、授業のペースについていけず、板書も間に合わなくなり、テストで急激に点数が悪くなった。後程、ディスレクシアと診断された。特に家族に対して顔を合わさないよう違う方向をみていて、こちらが話しかけても緘黙状態を貫いていました。約1年近く続き、彼女の苦しみをこちらが理解してから会話できるようになった。本人は自分自身何かがおかしいと気づいていて、ディスレクシアと診断されてから落ち込むことはなくなり、前向きに自分ができる範囲で学習しようと頑張っています。

この声からは、高校生になって初めてディスレクシアと診断されるケースがあり、それまでの間、本人が一人で苦しみを抱え続けていたことが分かります。

  • ディスレクシアは、学年が上がり学習内容が高度になるほど、困難が表面化しやすい
  • 気づかれないままの期間が長いほど、本人の苦しみも長く続く
  • 診断がついたことで、本人が前向きになれた例もある
  • 「分かってもらえた」という実感が、回復への大きな一歩になる

ディスレクシアへの気づきが遅れることは、本人にとって長い苦しみの時間につながります。だからこそ、早期の気づきが重要です。

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早期のスクリーニングが、深刻な状況を防ぐことがある

学校現場でのスクリーニング(早期発見のための検査)の導入が、深刻な状況を防いだ例もあります。

実際の体験談にも、そうした取り組みに関する声が見られました。

発達性読み書き障害に気付かれず、学校の授業に徐々についていけなくなりました。学校に疲れてしまうことが増えて、学校を休みがちになりました。全児童生徒への発達性読み書き障害スクリーニング検査を学校に提案したところ、自治体への導入の検討が始まりました。早期に支援を受けられることで深刻な二次障害を防ぐことができたと実感しています。

この声からは、保護者自身が学校に働きかけ、スクリーニング検査の導入という、より多くの子どもを対象にした早期発見の仕組みづくりにつながった経緯が分かります。

  • 一部の自治体・学校では、全児童生徒を対象にした読み書き障害のスクリーニング検査が導入され始めている
  • 保護者からの働きかけが、学校・自治体レベルでの取り組みにつながることがある
  • 早期発見の仕組みが整うことで、深刻な二次障害を防げる可能性が高まる
  • 一人の気づきが、多くの子どもたちの早期発見につながる社会的な意義を持つこともある

早期のスクリーニングは、個々の子どもだけでなく、同じ困難を抱える多くの子どもたちを守る仕組みにもなり得ます。

ディスレクシアをめぐる体験談の整理

場面見えてきたこと
読みにくさと視覚過敏の重なり感覚面も含めた総合的な理解と道具の工夫が助けになる
気づかれないまま進級する学年が上がるほど困難が表面化し、長期の苦しみにつながることがある
早期のスクリーニング学校・自治体レベルでの早期発見の仕組みが、深刻な状況を防ぐ

児童発達支援士について

ここまで、ディスレクシア(読み書き障害)の特徴と支援についてご紹介してきました。

こうした特性への理解を深めることと合わせて、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。

資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

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Q&A|ディスレクシアに関するよくある質問

Q1:ディスレクシアは、何歳頃から気づけますか?

個人差がありますが、就学前後の読み書きの学習が始まる時期から、サインが見え始めることが多いです。ただし、高校生など、より高度な学習が始まってから気づかれるケースもあります。

Q2:読みにくさに、視覚過敏が関係することはありますか?

あります。光の眩しさなど、視覚的な感覚特性が、文字の読みにくさを増幅させることがあります。遮光レンズやリーディングルーラーなどの道具が助けになる場合があります。

Q3:ディスレクシアの診断は、どこで受けられますか?

医療機関(小児科、児童精神科など)や、教育センター、発達支援センターなどで相談・検査を受けられる場合があります。まずはかかりつけ医や学校に相談してみてください。

Q4:学校にスクリーニング検査の導入を提案することはできますか?

可能です。実際に、保護者からの提案がきっかけで、自治体レベルでの導入検討が始まった例もあります。学校や教育委員会に相談してみることをおすすめします。

Q5:診断がついた後、子どもの様子は変わりますか?

「分かってもらえた」という安心感から、前向きに学習に取り組めるようになる例が見られます。診断は、本人にとって自分を理解する手がかりにもなります。

まとめ|早期の気づきが、長い苦しみを防ぐ

ディスレクシア(読み書き障害)は、知的能力とは関係のない、文字の情報処理に特有の困難です。

  • 読みにくさが、視覚的な感覚過敏と重なっていることもある
  • 気づかれないまま進級すると、大きな困難につながることがある
  • 早期のスクリーニングが、深刻な状況を防ぐことがある

ディスレクシアへの気づきが早いほど、本人が一人で苦しむ時間を短くすることができます。次回は、学習障害の子が学校で受けられる「合理的配慮」について、具体的な実例とともに取り上げます。

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、ディスレクシアに関する一般的な知識と、当協会が収集した体験談の一部をもとにまとめています。診断や治療方針については、必ず医師や専門機関にご相談ください。子どもの特性や状況には個人差があり、すべての子どもに同じ結果が見られるわけではありません。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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