ABAを取り入れている施設の見分け方|ABCモデル・DTTなど専門用語を解説|発達支援における実践ポイント

療育施設を探していると、「ABA」「ABCモデル」「DTT」「PECS」といった、専門的な用語を目にすることがあります。言葉は目にしても、それぞれが何を意味するのか分からず、施設選びの判断材料にできていない保護者も多いのではないでしょうか。

たとえば、

  • 「ABCモデル」とは、具体的にどんな支援の枠組みなのか
  • 「DTT」という手法は、ABAとどう違うのか
  • PECSなど、ABAと組み合わせて使われる技法にはどんなものがあるのか
  • ペアレントトレーニングを組み合わせている施設は、何が違うのか

といった疑問です。

専門用語の意味を知ることは、施設の自己PR文を正しく読み解き、我が子に合った施設を見極めるための、実践的な力になります。

この記事では、CDQ認証サイトに登録されている施設の情報をもとに、ABAを取り入れている施設に見られる専門用語と、その見分け方について紹介していきます。

>家庭でできるABAの実践|ほめ方・無視の仕方・行動のきっかけを整える|発達支援における実践ポイント

本記事で紹介している情報について

本記事は、ABAに関連する専門用語の一般的な知識を中心に、CDQ認証サイトに登録されている施設の自己PR文をもとに構成しています。

項目内容
データソースCDQ認証サイト 施設情報データベース
データ取得者一般社団法人 人間力認定協会
対象施設数7,758施設(全国47都道府県)
データ取得時点2026年8月4日時点
分析方法施設の自己PR文のうち、ABAに関連する専門用語(ABCモデル、DTT、PECS、ペアレントトレーニング等)の記載を抽出

ABCモデルとは

ABCモデルとは、ABA(応用行動分析)の基本的な考え方に基づいて開発された、支援の枠組みの一つです。

実際の自己PR文にも、そうした支援の枠組みに関する記載が見られました。

「生活に必要なスキルの習得・維持・般化」「家庭での子育て」「行動問題への対応」「コミュニケーション支援」など、子どもたちやご家族のニーズに応じ、応用行動分析(ABA)を基に開発された「ABCモデル」による支援を提供。

この記載からは、ABCモデルが、生活スキル、家庭での子育て、行動問題、コミュニケーションなど、幅広いニーズに応じて活用される、体系的な支援の枠組みであることが分かります。

  • ABC(Antecedent〈先行事象〉・Behavior〈行動〉・Consequence〈結果〉)の頭文字を取った考え方
  • 行動の「きっかけ」「行動そのもの」「結果」の3点セットで分析する
  • 生活スキルの習得・維持・般化(学んだことを他の場面でも使えるようにすること)まで視野に入れている
  • 家庭への支援も含めた、包括的な枠組みとして活用されている

ABCモデルは、ABAの基本的な考え方を、より体系的な支援の形に落とし込んだものと言えます。

>ABA(応用行動分析)とは?発達支援での基本的な考え方|発達支援における実践ポイント

DTT(Discrete Trial Training)とは

DTT(Discrete Trial Training:個別試行訓練)とは、ABAの技法の一つで、一つひとつの課題を明確に区切り、繰り返し練習することで、着実にスキルを習得していく方法です。

実際の自己PR文にも、そうした技法を導入している施設の記載が見られました。

ABA応用行動分析(DTT)に基づき個別療育をしています。

この記載からは、ABAという大きな理論の中に、DTTという具体的な実践技法が含まれていることが分かります。

  • DTTは、課題を「指示→反応→結果(強化)」という一つの試行として区切り、繰り返し練習する技法
  • 一つひとつのステップが明確なため、成果が見えやすいという特徴がある
  • マンツーマンでの個別療育の形で提供されることが多い
  • ABAの中でも、特に構造化された、体系的な指導方法の一つ

DTTという用語を知っておくことで、施設がどのような方法で個別療育を行っているかを、より具体的にイメージできるようになります。

PECSなど、ABAと組み合わせて使われる技法

ABAは、単独で使われるだけでなく、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)など、他の技法と組み合わせて活用されることが多くあります。

実際の自己PR文にも、そうした組み合わせに関する記載が見られました。

感覚統合理論や応用行動分析、TEACCHプログラム、PECSなどの手法を取り入れ、母子同室で丁寧な療育を心掛けている。

発達障がい児への応用行動分析に基づいた個別支援とペアレントトレーニングを合わせた専門的療育を実施する。

これらの記載からは、多くの施設が、ABAを単独で使うのではなく、感覚統合、TEACCH、PECS、ペアレントトレーニングなど、複数の技法を組み合わせて療育を行っていることが分かります。

  • PECSは、言葉でのコミュニケーションが難しい子どもが、絵カードを使って要求を伝える技法
  • TEACCHは、視覚的な構造化を重視した、自閉スペクトラム症の子ども向けの支援プログラム
  • 複数の技法を組み合わせることで、子どもの多様な困りごとに対応しやすくなる
  • 施設によって、組み合わせる技法や、力を入れている分野が異なる

複数の技法名を知っておくことで、施設がどのような支援の幅を持っているかを、自己PR文から読み取りやすくなります。

>絵カード(PECS/ペクス)を使ったコミュニケーション支援の基本|言葉が出ない子の心に寄り添う「伝わった!」の成功体験

ペアレントトレーニングを組み合わせている施設も多い

ABAを取り入れている施設の中には、子どもへの支援だけでなく、保護者向けの「ペアレントトレーニング」を組み合わせているところも多く見られます。

  • ペアレントトレーニングは、保護者が子どもとの関わり方を体系的に学ぶプログラム
  • ABAの考え方(褒め方、環境調整など)を、保護者自身が学ぶ機会になる
  • 家庭と施設で一貫した関わり方をするための、重要な橋渡しの役割を果たす
  • ペアレントトレーニングの有無は、施設選びの際に確認する価値がある視点の一つ

ペアレントトレーニングを取り入れている施設は、子どもへの支援と家庭への支援を、両輪として大切にしていると考えられます。

ABA関連の専門用語整理

ABA関連の専門用語整理
用語意味
ABCモデル行動の「きっかけ・行動・結果」の3点で分析する支援の枠組み
DTT課題を明確に区切り、繰り返し練習する個別試行訓練
PECS絵カードを使って要求を伝えるコミュニケーション技法
ペアレントトレーニング保護者が子どもとの関わり方を体系的に学ぶプログラム

見学時に確認したいポイント

専門用語の意味を知った上で、実際に施設を見学する際には、次のようなポイントを確認してみることをおすすめします。

  • どの技法を、どのような場面で使っているのか、具体的に尋ねてみる
  • 個別療育(DTTなど)と、集団療育のバランスはどうなっているか
  • ペアレントトレーニングなど、保護者向けの支援があるかを確認する
  • 専門用語を使うだけでなく、分かりやすく説明してくれるかどうかも、施設選びの視点になる

専門用語を知っておくことで、施設からの説明をより深く理解し、我が子に合った施設かどうかを判断する材料が増えていきます。

安心して選べる放デイ・児童発達支援を探すために

放課後等デイサービス・児童発達支援は、

  • スタッフ体制
  • 支援内容
  • 専門性
  • 雰囲気
  • 子どもとの相性

など、質の差が非常に大きいです。

どこを選べばいいか迷う場合は、 一定の基準を満たした施設を選ぶと安心できます。

CDQ認証サイトでは、認証基準をクリアした療育施設を一覧で確認でき、 質の担保された施設選びがしやすくなります。

私ども一般社団法人 人間力認定協会では、療育の質を見える化するプロジェクトとして「CDQ認証」という制度を設けました。本サイトでは一定の基準を満たした優良施設のみを掲載・紹介しています。

児童発達支援士について

ここまで、ABAを取り入れている施設に見られる専門用語と、その見分け方についてご紹介してきました。

こうした専門的な知識への理解を深めることと合わせて、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。

資格の有無が施設選びの基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

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Q&A|ABAを取り入れている施設に関するよくある質問

Q1:ABCモデルとDTTは、どう違いますか?

ABCモデルは行動を分析する「考え方の枠組み」、DTTは課題を繰り返し練習する「具体的な技法」です。ABCモデルという考え方の中に、DTTのような実践方法が含まれています。

Q2:PECSは、発語がない子どもだけのものですか?

主に言葉でのコミュニケーションが難しい子どもに向けた技法ですが、発語の有無にかかわらず、コミュニケーションの補助として活用されることがあります。

Q3:複数の技法を組み合わせている施設は、良い施設ということですか?

一概には言えません。技法の数よりも、その子の困りごとに合った技法が使われているかどうかが重要です。

Q4:ペアレントトレーニングは、必ず受けたほうがよいですか?

必須ではありませんが、家庭での関わり方を学ぶ機会として、多くの保護者にとって有益な内容です。興味があれば、実施している施設を探してみることをおすすめします。

Q5:専門用語が多くて、施設の説明が理解しにくいときはどうすればよいですか?

分からない用語があれば、見学時に遠慮なく質問してみてください。丁寧に説明してくれるかどうかも、施設選びの大切な判断材料になります。

まとめ|専門用語を知ることが、施設選びの解像度を高める

ABAを取り入れている施設の自己PR文には、ABCモデル、DTT、PECS、ペアレントトレーニングなど、さまざまな専門用語が使われています。

  • ABCモデルは、行動の前後関係を分析する支援の枠組み
  • DTTは、課題を繰り返し練習する具体的な技法
  • PECSなど、ABAと組み合わせて使われる技法も多くある
  • ペアレントトレーニングを組み合わせている施設も多い

これで、ABAをテーマにした3本の記事(基本的な考え方、家庭での実践、施設の見分け方)が完成しました。専門用語の意味を知ることは、施設からの説明を深く理解し、我が子に合った施設を見極めるための、実践的な力になります。

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、CDQ認証サイトに登録されている施設の自己PR文と、ABAに関する一般的な知識をもとにまとめています。掲載内容は各施設からの申告に基づくものであり、実際の支援内容は施設によって異なります。施設を選ぶ際は、記事の内容を参考情報としつつ、各施設への直接の確認や見学を通じて、総合的に判断してください。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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