発達障害のある子どもにとって、受験方式の選び方は「合否」だけでなく、 その後の学校生活の過ごしやすさ にも大きく影響します。
内申点が取りにくい、筆記試験が苦手、面接で固まる、環境の変化に弱い──。 受験方式によって、子どもの特性との相性は大きく変わります。
私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、 受験方式の選択は「学力」よりも「特性との相性」が重要だと感じてきました。
この記事では、実際に受験に関するさまざまな困りごと経験された保護者の声をもとに、 発達特性に合う受験方式の考え方を整理します。
>ミスマッチを防ぐ進路選び|発達障がい児の特性を生かす学校選択の考え方
目次
発達障がい児の受験時に関する困った経験に関する調査概要
- 調査名:発達障がい児の受験時に関する困った経験に関する調査概要
- 調査目的:発達障害の特性を持つ方が、受験時にどういった困難があるのか把握するため
- 調査対象:発達障害のある子どもを支援する保護者
- 有効回答数:11名
- 調査方法:Webアンケート調査
- 募集期間:2023年10月~2025年7月(継続的な調査)
- 調査主体:一般社団法人 人間力認定協会
- 作成責任者:事務局長 望月宏彰
受験方式でつまずいた・うまくいった子どものリアル

実際に児童発達支援士を受講した保護者からは次のような経験談をいただいています。
① 推薦・指定校推薦で起きた“想定外の落とし穴”
「指定校推薦で傾向が変わり、準備していたことができずフリーズしてしまった」
推薦は“確実”に見えても、 当日の形式変更・想定外の質問 が特性に影響しやすいという声が多く見られました。
② 内申点が取りにくく、AOや通信制に切り替えたケース
「内申2.9で推薦が取れず、AO受験に絞った」
「不登校気味で公立は難しく、通信制高校に切り替えた」
内申点は“行動評価”の影響を受けやすく、 ASD・ADHDの子どもにとって不利になりやすい側面があります。
③ 受験方式を変えたことで“自分に合う道”が見つかったケース
「面接と作文だけの前期試験で合格できた」
「通信制高校で週2〜3日の通学が合っていた」
「地域みらい留学枠で合格した」
受験方式を変えることで、 筆記試験以外の力が評価される道が開けた という声も多く寄せられています。
>受験勉強でつまずきやすい発達障がい児への支援|学習困難の背景と家庭でできる工夫
※この記事の内容は、児童発達支援士の受講者アンケートに寄せられた実際の声をもとにまとめていますが、感じ方や変化には個人差があります
受験方式によって“合いやすさ”が大きく変わっていた理由
| 受験方式で起きやすかったこと | 背景にあった特性や相性 |
| 推薦で想定外の質問に固まってしまう | 予測外の変化への対応負荷が大きかった |
| 内申点で不利になりやすい | 提出物・忘れ物・集団行動が評価に影響していた |
| 面接・作文中心で力を発揮できた | 興味や経験を言語化しやすかった |
| 通信制で安定しやすくなった | 通学負荷や環境刺激を調整しやすかった |
| 「偏差値」より相性重視でうまくいった | 特性に合う方式の方が継続しやすかった |
発達特性に合う受験方式を考えるための知識
① 内申点は「特性の影響を受けやすい」評価である
- 忘れ物が多い
- 提出物が遅れる
- 集団行動が苦手
- 授業態度の評価が低くなりやすい
これらは“努力不足”ではなく、 特性による行動の偏り が原因であることが多いです。
そのため、内申点重視の学校は不利になりやすい傾向があります。
② 筆記試験が苦手な子は「面接・作文中心」の方式と相性が良い
- 面接中心の前期試験
- 作文・小論文中心のAO
- 通信制高校の面接+作文
筆記試験が苦手でも、 言語化・興味の深さ・経験 が評価される方式なら力を発揮しやすくなります。
③ 不登校・体調の波がある子は「通学日数を選べる学校」が合う
- 通信制高校(週1〜5日)
- チャレンジスクール
- 専門コースのある私立
“毎日通うこと”が負担になる子には、 通学スタイルを選べる学校 が大きな安心につながります。
④ 受験方式は「学力」よりも「特性との相性」で選ぶ
- 自閉スペクトラム症(ASD):環境の曖昧さが少ない学校、専門性のある学科
- 注意欠如多動症(ADHD):通学負荷が少ない学校、実技・活動が多い学科
- 学習障害(LD):筆記試験が少ない方式、面接・作文中心の方式
“どの学校が偏差値的に良いか”ではなく、 どの方式ならその子が力を発揮できるか が最重要です。
⑤ オープンスクールは「ミスマッチを防ぐ最強の手段」
児童発達支援士を受講した保護者の声でも共通していたのは、 オープンスクールに行くと、子ども自身が“ここなら行ける”と判断できる という点。
- 校舎の雰囲気
- 生徒の様子
- 先生の話し方
- 支援体制の有無
これらは、パンフレットでは絶対に分かりません。
家庭での関わりを整えるために役立つ学び
受験方式の選択は、 発達特性・環境・子どもの価値観 が複雑に絡み合うテーマです。
児童発達支援士では、
- 発達特性を理解するための基礎
- 子どもの行動の背景を捉える視点
- 進路選択を考える際の“判断軸”
- 親子で話し合うための土台となる考え方
といった、受験方式を選ぶ際にも役立つ基礎的な知識を身につけることができます。

まとめ:受験方式は“その子が力を発揮できる形”で選ぶ
児童発達支援士を受講した保護者の声から見えてくるのは、 受験方式は「学力」よりも「特性との相性」で選ぶ方がうまくいくということです。
- 内申点が取りにくい子は推薦が不利になることもある
- 筆記試験が苦手でも、面接・作文で力を発揮できる
- 通信制・チャレンジスクールは“逃げ”ではなく“適した環境”
- オープンスクールはミスマッチを防ぐ最強の手段
受験方式は一つではありません。 子どもが“自分の力を出しやすい形”を選ぶことが、 その後の学校生活の安定にもつながります。

