小学校高学年で増える対人トラブル|ASD・ADHDの“見えにくい困りごと”と友達関係の変化

「最近、友達トラブルが急に増えた

小学校高学年になると、発達障害のある子どもの対人トラブルが急に目立ち始めることがあります。

低学年の頃は、

  • 「少し変わっている子」
  • 「元気な子」
  • 「マイペースな子」

として受け入れられていた子でも、高学年になるにつれて、

  • 距離感のズレ
  • 会話の違和感
  • こだわりの強さ
  • 感情コントロールの難しさ

などが、友達関係の中で大きなトラブルにつながりやすくなるのです。

特にASDやADHDのある子どもの場合、“見えにくい困りごと”が周囲に理解されにくく、「わざとやっている」と誤解されてしまうケースも少なくありません。

私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、高学年以降の友達トラブルについて数多くの相談を受けてきました。

実際の一次情報を見ていくと、“性格の問題”だけでは整理できない、「成長とともに表面化する困りごと」が見えてきます。

この記事では、協会が保有する一次情報(支援士インタビュー)をもとに、小学校高学年で対人トラブルが増えやすくなる背景や、支援の際に大切にしたい視点について整理していきます。

>友達との距離感がわからない子への支援|しつこい・一方的・空気が読めない背景にある発達特性とは

本記事で紹介している一次情報について

本記事では、当協会が認定する児童発達支援士資格または、発達障害コミュニケーションサポーター資格に合格され、認定支援士に登録された方から寄せられた声を紹介しています。一次情報の詳細は下記のとおりです。

項目詳細
回答者児童発達支援士または発達障害コミュニケーションサポーター合格者
属性保護者、療育施設スタッフ、保育士、教員など
有効回答数255件
情報取得日2022年7月~2026年5月
質問1児童発達支援士の資格を取ろうと思ったきっかけは?
質問2発達障がい児支援をしていて最も辛かったことは何ですか?
質問3発達障害に関する知識を習得したことで、何か変化はありましたか?
質問4ご自身と似た境遇で悩んでいる方に何かアドバイスはありますか?
質問5発達障がい児の支援を行う上で大切だと感じていることは何ですか?

小学校高学年で増えていた対人トラブルの声

小学校高学年で増えていた対人トラブルの声

実際に寄せられた声からは、“成長するほど関係づくりが難しくなっていく”苦しさが見えてきました。

① 「空気が読めない」と言われるようになった

「低学年の頃は許されていた」

「高学年になって急に浮き始めた」

「冗談が通じなくなっていた」

小学校高学年になると、友達関係の中で“暗黙のルール”が急激に増えていきます。

例えば、

  • ノリを合わせる
  • 空気を察する
  • 相手の気持ちを読む
  • 場面に応じて言い方を変える

といった、“言葉にされないコミュニケーション”が求められるようになります。

ただ、ASD傾向のある子どもの中には、こうした曖昧なやり取りを理解するのが難しい子もいるのです。

② 「しつこい」「自分勝手」と誤解されていた

「何度も同じ話をしてしまっていた」

「友達への距離が近すぎた」

「自分のルールを押し通していた」

本人としては「仲良くしたい」という気持ちでも、関わり方が強く出すぎることでトラブルにつながるケースがあります。

特に高学年になると、子ども同士の“距離感”がより繊細になります。

そのため、

  • 何度も誘う
  • 一方的に話す
  • ルール変更を嫌がる

といった行動が、「面倒」「空気が読めない」と受け取られやすくなるのです。

③ ASD・ADHD特性による衝動的な言動が増えていた

「思ったことをすぐ口にしてしまっていた」

「友達を怒らせる発言が増えていた」

「後から“なんで言ったの?”となっていた」

ASD・ADHD傾向のある子どもの場合、“思ったことをすぐ言葉にしてしまう”特性が対人トラブルにつながることがあります。

特に高学年になると、

  • 言い方
  • 空気
  • タイミング

が重視されるようになるため、衝動的な発言が誤解や衝突につながりやすくなるのです。

④ 「友達関係が怖い」と感じ始めていた

「休み時間を一人で過ごすようになった」

「どうせまた嫌われると言っていた」

「学校へ行きたくないと言うようになった」

トラブル経験が積み重なることで、「また失敗するかもしれない」という不安が強くなっていく子どももいます。

その結果、

  • 関わりを避ける
  • 無理に合わせすぎる
  • 強く反発する

など、対人関係が極端になってしまうケースもあります。

>発達障害のある子が“仲間外れ”になりやすい理由|友達トラブル・孤立・誤解の背景にあるものとは

高学年で増えやすかった対人トラブルの共通点

高学年で起きやすかったこと背景にあった困りごと
「空気が読めない」と言われる暗黙のルール理解が難しかった
「しつこい」と距離を取られる好きな相手との距離感調整が難しかった
思ったことをそのまま言ってしまう衝動性や言葉選びの難しさがあった
トラブル後に強く落ち込む「また嫌われた」という失敗体験が積み重なっていた
一人行動が増える「また傷つくかも」という不安が強くなっていた

高学年で“見えにくい困りごと”が増える背景とは

ここからは、小学校高学年で対人トラブルが増えやすくなる背景について整理していきます。

① 「高度なコミュニケーション」が求められるようになる

低学年の頃は、

  • 一緒に遊ぶ
  • 同じことをする
  • 元気に話す

だけでも友達関係が成立しやすい部分があります。

ただ、高学年になると、

  • 空気を読む
  • 相手に合わせる
  • 冗談を理解する
  • 微妙な感情変化を察する

など、“見えないコミュニケーション能力”が求められる場面が増えていきます。

この部分で難しさがあると、「なんとなく浮いてしまう」状態になりやすいのです。

② 「好き」が強すぎて距離感がズレることがある

  • 同じ友達に執着する
  • 話したい気持ちが止まらない
  • 自分の好きな話題を続ける

こうした姿が見られる子どももいます。

ただ、高学年になるほど“適切な距離感”が求められるようになります。

そのため、低学年では許容されていた関わり方が、急にトラブルにつながるケースもあります。

③ 「悪気がない」が伝わりにくくなる

発達障害のある子どもの中には、

  • 思ったことをそのまま言う
  • 冗談を真に受ける
  • 不公平に敏感

といった特性が見られる場合があります。

ただ、高学年になると周囲も精神的に成長するため、“悪気がない”だけでは受け入れられにくくなっていきます。

その結果、「面倒な子」「空気が読めない子」と見られてしまうケースもあるのです。

④ 失敗経験が自己否定感につながりやすい

  • 「また怒られた」
  • 「また嫌われた」
  • 「どうせ自分なんか」

こうした感覚が積み重なることで、自己否定感が強くなっていく子どももいます。

特に高学年以降は、“みんなと違う”ことを強く意識しやすい時期でもあります。

だからこそ、“トラブル対応”だけではなく、「安心して関われる経験」を積み重ねる視点が重要です。

学校や家庭で大切にしたい関わり方

① 「わざと困らせている」と決めつけない

対人トラブルが続くと、周囲も疲弊してしまいます。

ただ、本人なりに「仲良くしたい」「うまくやりたい」と頑張っているケースも少なくありません。

まずは、“なぜその行動が出ているのか”を整理していく視点が大切です。

② 「空気読んで」だけで終わらせない

「空気を読む」は、とても抽象的な表現です。

そのため、

  • 相手の表情を見る
  • 一度待つ
  • 話す時間を区切る
  • 「今話して大丈夫?」と聞く

など、“具体的な形”で整理することで理解しやすくなる子どももいます。

③ 小さな成功体験を積み重ねる

対人関係は、“失敗経験”ばかり積み重なると自信を失いやすい部分です。

だからこそ、

  • 相手の話を最後まで聞けた
  • 距離感を調整できた
  • 落ち着いて話せた

といった“小さな成功”を積み重ねていくことが重要です。

④ 「安心できる居場所」を作る

まずは、

  • 一人でも安心できる友達
  • 否定されにくい環境
  • 理解してくれる大人

を作っていくことも大切です。

“友達を増やすこと”だけではなく、「安心して関われる経験」を積み重ねることが、結果的に自己肯定感の回復につながっていきます。

>トラブルが多い子への関わり方|謝れない・納得できない背景にある発達特性と支援の視点

家庭での関わりを整えるために役立つ学び

子どもの困りごとは、発達特性だけでなく、環境・関わり方・本人の感じ方や経験など、さまざまな要因が複雑に関係しています。

そのため、「どう対応すればいいのか分からない」「毎日怒ってしまい自己嫌悪になる」と感じたときは、保護者や支援者だけで抱え込まず、発達支援に関する知識や考え方を少しずつ学んでいくことも大切です。

実際には、

・発達障害や感覚特性に関する書籍を読む
・療育施設や支援機関に相談する
・保護者会や経験者の声を参考にする
・専門資格や研修で体系的に学ぶ

など、さまざまな学び方があります。

大切なのは、「子どもを無理に変える方法」を探すことではなく、子どもの特性や困りごとの背景を理解し、少しでも生活しやすくなる視点を持つことです。

一般社団法人 人間力認定協会の「児童発達支援士」でも、

・発達特性の理解
・行動の背景を読み解く視点
・環境調整(構造化)の基本
・保護者支援やコミュニケーション

など、家庭や支援現場で活かしやすい内容を体系的に学ぶことができます。

「完璧な支援」を目指す必要はありません。
まずは、“なぜこの行動が起きるのか”を知ることが、支援を穏やかに変えていく第一歩になります。

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Q&A|高学年の対人トラブルに関するよくある質問

Q1:低学年では問題なかったのに、急にトラブルが増えました

高学年になると、“空気を読む力”や“暗黙のルール理解”が求められる場面が増えます。そのため、今まで見えにくかった困りごとが表面化するケースがあります。

Q2:「空気が読めない」と言われています

発達障害のある子どもの中には、表情・声のトーン・その場の雰囲気など、“言葉以外の情報”を読み取ることが難しい子もいます。

Q3:本人が「友達いらない」と言います

本当に一人が好きというより、“また傷つくのが怖い”状態になっているケースも考えられます。まずは安心できる関係づくりが重要です。

Q4:友達トラブルのたびに強く怒ってしまいます

危険行為や他害には止める対応が必要です。ただ、“どうしてそうなったのか”を整理しないまま叱責だけが続くと、自己否定感が強くなるケースがあります。

Q5:保護者として何を意識すればいいですか?

「問題行動」だけを見るのではなく、“うまく関わりたいのにできない苦しさ”にも目を向けることが大切です。具体的な支援方法を整理していく視点が重要になります。

まとめ|高学年になるほど“見えにくい困りごと”は表面化しやすくなる

小学校高学年になると、友達関係の中で求められるコミュニケーションが一気に複雑になります。

その中で、発達障害のある子どもの中には、

  • 距離感がつかみにくい
  • 空気を読みづらい
  • 感情調整が難しい
  • “好き”が強く出すぎる

などの特性によって、対人トラブルが増えやすくなる子もいます。

だからこそ、

  • 「わざと困らせている」と決めつけない
  • 抽象的ではなく具体的に伝える
  • 小さな成功体験を積み重ねる
  • 安心できる関係を作る

こうした視点がとても重要です。

“問題行動”だけを見るのではなく、「うまく関わりたいのにできない苦しさ」に目を向けていくことが、支援の第一歩になるのです。

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【注意事項】

この記事で紹介している内容は、児童発達支援士の受講者アンケートなどに寄せられた保護者・支援者の実際の声をもとにまとめています。
子どもの特性や発達の状況、支援との相性、感じ方には個人差があり、すべての子どもに同じ変化や結果が見られるわけではありません。
支援方法や対応について判断する際は、必要に応じて医師・専門家・支援機関などと相談しながら進めてください。この記事は、保護者や支援者が理解や選択の参考にするための情報としてご活用ください。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。

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