友達との距離感がわからない子への支援|しつこい・一方的・空気が読めない背景にある発達特性とは

「相手の気持ちを考えず、一方的に話してしまう

発達障害のある子どもの中には、“友達との距離感”でつまずきやすい子がいます。

ただ、周囲からは、

  • 「しつこい」
  • 「空気が読めない」
  • 「自分勝手」
  • 「相手の気持ちを考えていない」

と見えてしまうことも少なくありません。

その結果、注意される回数が増えたり、友達トラブルにつながったりして、「どうしてうまくいかないんだろう」と本人自身が苦しんでいるケースもあります。

私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、対人関係の悩みを抱える子どもたちの声に数多く触れてきました。

実際に体験された方からの声を見ていくと、“わざと困らせている”というより、

  • 相手との距離感がつかみにくい
  • 会話の終わり方がわからない
  • 相手の表情や空気を読み取りにくい
  • 「仲良くなりたい」が強すぎる

といった背景が見えてきます。

この記事では、協会が保有する一次情報(支援士インタビュー)をもとに、友達との距離感がわからない子どもの特徴や、支援で大切にしたい視点について整理していきます。

>発達障害のある子が“仲間外れ”になりやすい理由|友達トラブル・孤立・誤解の背景にあるものとは

本記事で紹介している一次情報について

本記事では、当協会が認定する児童発達支援士資格または、発達障害コミュニケーションサポーター資格に合格され、認定支援士に登録された方から寄せられた声を紹介しています。一次情報の詳細は下記のとおりです。

項目詳細
回答者児童発達支援士または発達障害コミュニケーションサポーター合格者
属性保護者、療育施設スタッフ、保育士、教員など
有効回答数255件
情報取得日2022年7月~2026年5月
質問1児童発達支援士の資格を取ろうと思ったきっかけは?
質問2発達障がい児支援をしていて最も辛かったことは何ですか?
質問3発達障害に関する知識を習得したことで、何か変化はありましたか?
質問4ご自身と似た境遇で悩んでいる方に何かアドバイスはありますか?
質問5発達障がい児の支援を行う上で大切だと感じていることは何ですか?

友達との距離感で悩んでいた子どもたちの声

友達との距離感で悩んでいた子どもたちの声

実際に寄せられた声からは、“仲良くしたい気持ち”と“うまく関われない苦しさ”の両方が見えてきました。

① 「仲良くなりたい」が強すぎてしまう

「ずっと同じ子に話しかけ続けていた」

「断られても気づけなかった」

「友達と遊びたい気持ちが止められなかった」

本人としては、“困らせたい”わけではなく、「もっと一緒にいたい」「仲良くなりたい」という気持ちが強いケースもあります。

ただ、その気持ちが強すぎることで、結果的に相手との距離が近くなりすぎてしまうことも多いようです。

② 会話が一方的になりやすかった

「自分の好きな話を止められなかった」

「相手が興味なさそうでも話し続けていた」

「会話のキャッチボールが難しかった」

発達障害のある子どもの中には、“相手の反応を見ながら会話を調整する”ことが苦手な子もいます。

特に、自分の好きな話題になると気持ちが高まり、一方的に話し続けてしまうケースも少なくありません。

③ 「空気が読めない」と誤解されていた

「嫌がられていることに気づけなかった」

「冗談を真に受けてしまっていた」

「友達との距離感がズレていた」

周囲からは「空気が読めない」と見えていても、本人は本気で困っていることがあります。

相手の表情・声のトーン・その場の雰囲気など、“言葉以外の情報”を読み取るのが難しい子どももいることを理解することが大切です。

④ 失敗経験が積み重なっていた

「また嫌われたと言っていた」

「友達を作るのが怖くなっていた」

「どう関わればいいかわからなくなっていた」

対人トラブルが続くと、「また失敗するかもしれない」という不安が強くなっていくことがあります。

その結果、

  • 急に距離を取りすぎる
  • 関わりを避ける
  • 逆にさらに執着が強くなる

など、関わり方が極端になってしまうケースもあります。

>トラブルが多い子への関わり方|謝れない・納得できない背景にある発達特性と支援の視点

友達との距離感で起きやすかった“ズレ”の共通点

友達関係で起きやすかったこと背景にあった困りごと
何度も話しかけ続けてしまう「仲良くなりたい」が強く出すぎていた
会話が一方的になってしまう相手の反応を見ながら調整するのが難しかった
「空気が読めない」と言われる表情や雰囲気など言葉以外の情報理解が難しかった
距離を取りすぎたり執着が強くなったりする失敗経験による不安や自己否定感が積み重なっていた
「なんで嫌がられるのかわからない」と混乱する暗黙のルール理解が難しかった

友達との距離感がわからなくなる背景とは

ここからは、“しつこい”“一方的”“空気が読めない”と言われやすい背景について整理していきます。

① 「相手の気持ち」を読み取るのが難しいことがある

  • 表情の変化
  • 声のトーン
  • その場の空気
  • 暗黙のルール

発達障害のある子どもの中には、こうした“言葉以外の情報”を読み取るのが苦手な子もいます。

例えば、

  • 相手が困っている
  • そろそろ会話を終わりたい
  • 今は一人になりたい

といったサインに気づきにくく、結果として「しつこい」と受け取られてしまうことがあります。

本人には悪気がないケースも多いため、「なんで嫌がられるのかわからない」と混乱していることも少なくありません。

② 「好き」が強く出すぎる子もいる

  • 好きな友達に執着する
  • 同じ遊びを繰り返したがる
  • 一緒にいたい気持ちが止まらない

こうした姿が見られる子どももいます。

特にASD傾向のある子どもの場合、“好きなものへの集中”が対人関係にも強く出ることがあります。

本人としては「仲良くしたい」だけなのですが、相手との温度差が大きいと、トラブルにつながってしまうこともあるんですね。

③ 「注意される経験」が自己否定感につながりやすい

  • 「しつこい!」
  • 「空気読んで」
  • 「またなの?」

こうした注意を繰り返し受けることで、「自分は嫌われる」「どうせまた失敗する」という感覚が強くなっていく子どももいます。

特に、“どう直せばいいか”がわからないまま怒られ続けると、対人関係そのものが怖くなってしまうケースもあります。

④ 「叱る」より“具体的に教える”視点が必要

  • どこまで近づくと嫌がられやすいか
  • 会話を終えるタイミング
  • 相手の表情を見る練習
  • 「今いい?」と確認する習慣

こうした“具体的なスキル”として整理すると、少しずつ理解しやすくなる子どももいます。

「空気を読んで」だけでは、本人にとってかなり抽象的なのです。

だからこそ、“どうすればいいか”を具体的に伝えていく支援が大切になります。

学校や家庭で大切にしたい関わり方

① 「悪気がある」と決めつけない

友達との距離感で失敗が続くと、周囲はつい「わざとやっている」と感じてしまうことがあります。

ただ、本人なりに頑張って関わろうとしているケースも少なくありません。

まずは、“なぜその行動が出ているのか”を見ていく視点が大切です。

② 「ダメ」だけで終わらせない

「しつこい!」
「やめなさい!」

だけでは、本人は“何をどう変えればいいのか”がわからないことがあります。

例えば、

  • 「3回話しかけたら一度待ってみよう」
  • 「相手の顔を見てみよう」
  • 「今話して大丈夫?って聞いてみよう」

など、具体的に伝えていくことで理解しやすくなる子どももいます。

③ 成功体験を積み重ねる

対人関係は、“失敗経験”ばかり積み重なると自信を失いやすい部分です。

だからこそ、

  • うまく待てた
  • 相手の話を聞けた
  • 距離感を調整できた

といった“小さな成功”を積み重ねていくことも大切です。

④ 保護者や支援者だけで抱え込まない

対人トラブルが続くと、保護者側もかなり疲弊します。

学校・療育・家庭で情報共有しながら、“どんな場面で困りやすいのか”を整理していくことが大切です。

>「遊びたい」が強すぎる子への支援|切り替え・執着・友達トラブルの背景にある発達特性とは

家庭での関わりを整えるために役立つ学び

子どもの困りごとは、発達特性だけでなく、環境・関わり方・本人の感じ方や経験など、さまざまな要因が複雑に関係しています。

そのため、「どう対応すればいいのか分からない」「毎日怒ってしまい自己嫌悪になる」と感じたときは、保護者や支援者だけで抱え込まず、発達支援に関する知識や考え方を少しずつ学んでいくことも大切です。

実際には、

・発達障害や感覚特性に関する書籍を読む
・療育施設や支援機関に相談する
・保護者会や経験者の声を参考にする
・専門資格や研修で体系的に学ぶ

など、さまざまな学び方があります。

大切なのは、「子どもを無理に変える方法」を探すことではなく、子どもの特性や困りごとの背景を理解し、少しでも生活しやすくなる視点を持つことです。

一般社団法人 人間力認定協会の「児童発達支援士」でも、

・発達特性の理解
・行動の背景を読み解く視点
・環境調整(構造化)の基本
・保護者支援やコミュニケーション

など、家庭や支援現場で活かしやすい内容を体系的に学ぶことができます。

「完璧な支援」を目指す必要はありません。
まずは、“なぜこの行動が起きるのか”を知ることが、支援を穏やかに変えていく第一歩になります。

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Q&A|友達との距離感に関するよくある質問

Q1:何度言ってもしつこく話しかけてしまいます

“やめよう”と思っても、気持ちの切り替えが難しい子どももいます。「ダメ」だけで終わらせるのではなく、“どうすればいいか”を具体的に整理していくことが大切です。

Q2:「空気を読んで」が伝わりません

「空気を読む」はかなり抽象的な表現です。表情・距離・声の大きさなど、具体的な形に分けて伝えた方が理解しやすい子どももいます。

Q3:友達トラブルが続いて自己否定感が強くなっています

失敗経験が積み重なると、「自分は嫌われる」という感覚が強くなりやすくなります。まずは安心できる人間関係を作ることも大切です。

Q4:相手の気持ちを考えられないのでしょうか?

“考えていない”というより、“読み取りづらい”ケースもあります。特に表情や空気感など、言葉以外の情報理解が難しい子どももいます。

Q5:友達関係は無理に作らせた方がいいですか?

無理に集団へ入れ続けることで、さらに傷ついてしまうケースもあります。まずは安心できる関係性を少しずつ積み重ねていくことが大切です。

まとめ|「困った行動」の奥には“仲良くしたい気持ち”が隠れていることもある

友達との距離感がわからない子どもの中には、“困らせたい”のではなく、「仲良くしたい」「関わりたい」という気持ちが強く出ている子もいます。

だからこそ、

  • 「悪気がある」と決めつけない
  • 抽象的ではなく具体的に伝える
  • 小さな成功体験を積み重ねる
  • 自己否定感を強めすぎない

こうした視点がとても大切になります。

“問題行動”だけを見るのではなく、その奥にある「どう関わればいいかわからない苦しさ」に目を向けていくことが、支援の第一歩になります。

>癇癪・パニック・切り替えの難しさを総まとめ|原因・年齢を問わず使える支援方法・独自データ・相談先を専門家が解説

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、児童発達支援士の受講者アンケートなどに寄せられた保護者・支援者の実際の声をもとにまとめています。
子どもの特性や発達の状況、支援との相性、感じ方には個人差があり、すべての子どもに同じ変化や結果が見られるわけではありません。
支援方法や対応について判断する際は、必要に応じて医師・専門家・支援機関などと相談しながら進めてください。この記事は、保護者や支援者が理解や選択の参考にするための情報としてご活用ください。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。

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