発達障害のある子どもは、 匂い・味・食感・温度・混ざる味 に強いストレスを感じることがあります。
嗅覚・味覚は「食事」「学校生活」「健康管理」に直結するため、 困りごとが日常生活に大きな影響を与えやすい感覚です。
私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、 嗅覚・味覚過敏は「偏食」「給食」「服薬」など、保護者の悩みが特に深い領域だと実感してきました。
この記事では、児童発達支援士を受講した保護者や支援者の声をもとに、嗅覚・味覚過敏の特徴・困りごと・支援のポイントを体系的に整理します。
>複数の感覚が同時にしんどい子ども|外出・医療・行事で起きる複合的な過敏・鈍麻
目次
感覚過敏・鈍麻に関する調査概要
- 調査名:感覚過敏・鈍麻に関する調査概要
- 調査目的:発達障がい児の感覚過敏や鈍麻の実態を把握するとともに、適切な対応を知るため
- 調査対象:発達障害のある子どもを支援する保護者や支援者
- 有効回答数:90名
- 調査方法:Webアンケート調査
- 募集期間:2025年5月~2026年3月(継続的な調査)
- 調査主体:一般社団法人 人間力認定協会
- 作成責任者:事務局長 望月宏彰
嗅覚過敏・味覚過敏に関する経験談

実際に児童発達支援士を受講した保護者や支援者からは、次のような経験談をいただいています。
① 匂いで食べられない・給食が無理
「給食の匂いが気持ち悪くて食べられません」
「添加物の匂いに敏感で給食がつらいです」
匂いが強い食べ物・温かい料理・給食室の匂いなどが、 食べる前からストレスになる ケースが多く見られました。
② 混ざる味が無理・固定食になる
「カレーや焼きそばは具を全部よけてから食べます」
「混ざる味が嫌で、同じものばかり食べています」
味覚過敏の子どもは、 “味が混ざる”こと自体が耐えられない ことがあります。
③ 服薬ができない・シロップも無理
「甘いシロップも粉薬も全部吐き出してしまいます」
「錠剤を4分の1から練習して飲めるようになりました」
味覚過敏は、 薬の苦味・甘味・後味 に強く反応し、服薬困難につながることがあります。
④ 匂い・味・食感の“違い”に敏感
「同じチョコでもメーカーが違うと食べられません」
「卵焼きも焼き方が違うと食べられません」
嗅覚・味覚過敏の子どもは、 微妙な違いを正確に感じ取る ことが多く、周囲が驚くほど繊細です。
>家庭で表れやすい感覚の困りごと|服・食事・入浴・家電音の過敏・鈍麻と支援
嗅覚・味覚過敏で生活に影響しやすかった困りごと
| 日常で起きやすかった困りごと | 背景にあった感覚負荷 |
| 給食の匂いで食べられない | 匂い刺激が強すぎて食欲低下につながっていた |
| 混ざる味を極端に嫌がる | 複数の味や食感が同時に入ることが負担だった |
| 同じ食品しか食べられない | 「安心できる味」以外への不安が強かった |
| 薬を吐き出してしまう | 苦味・甘味・後味への過敏さが大きかった |
| 微妙な味や匂いの違いに気づく | 感覚の違いを非常に繊細に感じ取っていた |
嗅覚・味覚過敏とは何か
① 嗅覚過敏は「匂いを強く感じすぎる状態」です
嗅覚過敏は、 匂いの刺激を“必要以上に強く”感じる状態 を指します。
- 給食の匂いがつらい
- 新しい物の匂いが気になる
- 添加物の匂いに敏感
- 食べ物の匂いで吐き気がする
匂いは逃げられない刺激のため、 生活のストレスになりやすい感覚 です。
● 脳の処理の特徴
- 匂いのフィルター機能が弱く、微細な匂いまで拾います。
- “匂いの変化”に敏感で、安心できる食べ物が限られます。
- 匂いが強い環境では集中が難しくなります。
② 味覚過敏は「味・食感・温度を強く感じすぎる状態」です
味覚過敏は、 味・食感・温度・混ざる味 に強く反応する状態です。
- 混ざる味が無理
- 固定食になる
- 苦味・酸味・辛味に敏感
- 食感の違いがストレス
- 温度の変化に敏感
味覚過敏は、 偏食・給食困難・栄養不足 につながりやすい特徴があります。
③ 嗅覚・味覚過敏は「食事だけでなく生活全体」に影響します
家庭
- 食べられるものが極端に少ない
- 家族と同じ食事が難しい
- 調理の匂いがつらい
学校・園
- 給食が食べられない
- 匂いで教室に入れない
- 食べられないことで自信を失う
医療
- 服薬ができない
- シロップも粉薬も無理
- 苦味に敏感で治療が進まない
嗅覚・味覚過敏は、 食事・健康・学校生活に直結する大きなテーマ です。
④ 嗅覚・味覚過敏は「混ざる味・匂いの変化」に特に弱いです
- カレー・焼きそば・丼もの
- 給食の複合的な匂い
- 新しい食品の匂い
- 調理中の匂い
これらは、 複数の味・匂いが同時に存在するため負担が大きい です。
⑤ 嗅覚・味覚過敏は「成長とともに変化する」ことがあります
保護者や支援者の声でも、
- 固定食だった子が少しずつ食べられるものが増えた
- 錠剤を小さく割って練習し、飲めるようになった
- 食べられる食材を工夫して栄養を補えた
など、 理解・工夫・経験の積み重ねによる変化 が多く見られました。
嗅覚・味覚過敏への支援のポイント
① 食べられるものを“基準”にする
- 無理に広げない
- 安心できる食材を中心にする
- 食べられる形に調理する(すりおろす・混ぜない)
「食べられるものがある」ことが最優先です。
② 匂いの刺激を減らす
- 調理の匂いを避ける
- 給食の席を工夫する
- 新しい物の匂いを事前に確認する
匂いの負担を減らすだけで、食べられる量が変わることがあります。
③ 混ざる味が苦手な場合は“分ける”
- 具とルーを分ける
- 食材を一つずつ食べる
- ワンプレートを避ける
混ざらないだけで、食べられるケースが多いです。
④ 服薬は“段階的な練習”が有効
- 錠剤を4分の1に割る
- 舌に触れないように飲む
- まずは水だけで練習する
味覚過敏の子は、 苦味・甘味・後味に強く反応する ため、段階的な練習が効果的です。
⑤ 本人の“味・匂いの地図”を理解する
- どの匂いが苦手か
- どの味が無理か
- どの食感がつらいか
- どうすれば安心できるか
これを把握することで、支援が格段にしやすくなります。
子どもの嗅覚・味覚過敏を理解するために役立つ学び
嗅覚・味覚過敏は、 脳の処理・匂いの強さ・味の複雑さ・経験 が複雑に絡み合って起きます。
児童発達支援士では、
- 発達特性を理解するための基礎
- 感覚の違いを捉える視点
- 行動の背景を読み解く力
- 無理のない支援の判断軸
といった、日常の関わりに役立つ基礎的な理解を身につけることができます。

まとめ:嗅覚・味覚過敏は“食事の問題”ではなく“感覚の違い”です
- 嗅覚過敏は匂いを強く感じすぎる状態です
- 味覚過敏は味・食感・温度に強く反応する状態です
- 偏食・給食・服薬に大きく影響します
- 混ざる味・匂いの変化に特に弱いです
- 成長とともに変化することがあります
- 支援は“無理をさせない”ことが基本です
嗅覚・味覚の違いを理解することは、 子どもの安心と健康を守るための大切な一歩 です。
>感覚過敏・感覚鈍麻のすべて|種類別×シーン別で理解する完全ガイド【家庭・学校・外出の困りごとと支援】
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、 児童発達支援士の受講者アンケートなどに寄せられた 保護者・支援者の実際の声 をもとにまとめています。
感覚過敏・感覚鈍麻の感じ方や困りごとは 個人差 が大きく、 すべての子どもに同じ特徴や変化が当てはまるわけではありません。
感覚に関する困りごとが強く、 生活に支障が出ている場合や安全面が心配な場合 は、 医師・専門機関・学校や園の担当者など、 専門家と相談しながら対応を進めることが大切です。
この記事は、保護者が子どもの困りごとを理解し、 関わり方を考えるための参考情報としてご活用ください。

