児童発達支援・放課後等デイサービスを選ぶとき、支援の内容と同じくらい大切なのが、「スタッフが長く働き続けられる施設かどうか」という視点です。
たとえば、
- 勤続年数の長いスタッフが多い施設には、どんな特徴があるのか
- 研修への参加は、施設によってどのくらい差があるのか
- 「職員資質の向上」を、施設はどう具体的な取り組みにしているのか
- スタッフの定着度は、子どもへの支援にどう関わってくるのか
といった疑問です。
スタッフが長く働き続けられる施設は、子どもにとっても、慣れ親しんだ人との関係を長く続けられる環境につながります。
私は協会の事務局長として、CDQ認証サイトの運営に関わる中で、スタッフの入れ替わりが激しい施設では、子どもとの関係づくりを一から繰り返すことになり、支援の継続性が損なわれやすいと感じています。
この記事では、CDQ認証サイトに登録されている全国7,758施設のデータをもとに、スタッフが長く働き続けられる施設に見られる条件について整理していきます。
>「専門性指数」が高い施設に見られる特徴|療育施設データシリーズ
目次
本記事で紹介している一次情報について
本記事では、CDQ認証サイトに登録されている、全国の児童発達支援・放課後等デイサービス施設の情報をもとにしています。
| 項目 | 内容 |
| データソース | CDQ認証サイト 施設情報データベース |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 対象施設数 | 7,758施設(全国47都道府県) |
| 人材育成・定着度指数 | 勤続年数・研修参加など全13項目の該当状況をもとに算出(WAM NET掲載情報をもとに当協会が審査) |
| データ取得時点 | 2026年8月4日時点 |
| 分析方法 | 人材育成・定着度指数の水準ごとに、勤続年数の記載状況と、施設の自己PR文を分析 |
今回の記事では、主に人材育成・定着度指数の水準別に見た勤続年数の傾向と、自己PR文の内容を中心に扱います。
指数の水準別にデータを見ると、次のような傾向が見られました。
- 勤続年数の長いスタッフの在籍が、指数の高さと直結している
- 研修への継続的な参加が、施設の方針として明記されている
- 「職員資質の向上」を明確な目標として掲げる施設もある
これらのデータからは、スタッフの定着や育成への取り組みが、施設によって大きな差があることが分かります。
スタッフが長く働き続けられる施設の3つの条件

データを整理すると、スタッフが長く働き続けられる施設に見られる条件は、大きく3つに分けられます。
ここからは、それぞれについて、実際のデータや記載も交えながら見ていきます。
① 勤続年数の長いスタッフの在籍が、指数の高さと直結する
人材育成・定着度指数の水準別に、勤続年数の記載状況を見ると、明確な傾向が見られます。
| 指数の水準 | 勤続10年以上の記載 | 勤続5年以上の記載 | 記載なし |
| 2点(低い) | 4.5% | 3.9% | 91.6% |
| 3点 | 34.7% | 28.1% | 37.2% |
| 4点 | 39.8% | 29.0% | 31.2% |
| 5点(高い) | 45.0% | 38.2% | 16.9% |
このデータからは、指数が低い施設の9割以上が勤続年数の記載がない一方、指数が高い施設では、勤続10年以上のスタッフの在籍が明記されている割合が大きく増えることが分かります。
- 指数2点の施設では、9割以上が勤続年数の記載なし
- 指数5点の施設では、45%が勤続10年以上のスタッフの在籍を明記
- 勤続年数の長さが、指数の水準に直接反映される構造になっている
- 長く働くスタッフの存在は、施設としての安定性を示す分かりやすい指標である
勤続年数の長いスタッフが在籍していることは、施設の安定性を測る、シンプルかつ有力な手がかりになります。
>療育施設は「人」で選ぶべき理由|人材の定着率が子どもに与える影響とは?
② 研修への継続的な参加が、施設の方針として明記されている
指数が高い施設の自己PR文には、研修や勉強会への参加を、継続的な取り組みとして明記している記載が多く見られました。
実際の自己PR文にも、そうした記載がありました。
社外(オンライン)研修を含め、勉強会に参加し、職員全員がスキルアップに努めています。
子どものことを120%考えた理想の支援施設として、職員には学術データを基にした「療育研修」を実施して「正しい療育」を目指しております。発達に心配のあるお子さまはもちろんですが、その保護者様のサポートも大切にすることを心掛けております。
これらの記載からは、研修が単発の取り組みではなく、職員全員が継続的に参加する仕組みとして位置づけられていることが分かります。
- 「職員全員がスキルアップに努めています」という表現に、継続的な姿勢が表れている
- 学術データに基づいた研修など、根拠のある学びを重視する施設もある
- 研修は、子どもへの支援だけでなく、保護者支援の質にもつながっている
- 研修参加を明確に自己PRに掲げることは、施設としての姿勢の表明でもある
研修への継続的な参加を明記している施設は、スタッフの成長を組織として支える体制を持っていると考えられます。
③ 「職員資質の向上」を明確な目標として掲げる施設もある
指数が高い施設の中には、「職員資質の向上」を、具体的な取り組みとともに掲げている施設も見られました。
実際の自己PR文にも、そうした記載がありました。
日本音楽療法学会認定音楽療法士による音楽療法サービス、定期的な家族向けのイベント・勉強会の開催に加えて、社会福祉士等専門職採用と研修による職員資質の向上に取り組んでいます。
主に知的障害児者および知的障害児を伴う身体障害児者に対する放課後等デイサービスを実施しています。行動援護が新設された当初より研修を受講し、従業者全員が行動援護従業者であり、日頃から事業内研修やケア会議等で研鑽しています。
これらの記載からは、専門職の採用と研修を組み合わせて職員の資質向上を図る姿勢や、制度の変化にいち早く対応し、全職員が特定の研修を修了しているといった、組織的な取り組みが見えてきます。
- 「職員資質の向上」を、採用と研修の両面から取り組んでいる施設がある
- 制度の変化(新しい研修制度など)にいち早く対応する姿勢も見られる
- 「全職員が研修を修了している」という記載は、組織的な取り組みの証になる
- 事業内研修やケア会議など、日常的な学びの機会を持つ施設もある
職員資質の向上への取り組みを具体的に説明している施設は、スタッフの成長を組織全体で支える体制を築いていると考えられます。
>“いい療育施設”って結局何?CDQ認証の評価基準をわかりやすく解説
スタッフの定着は、支援の継続性につながる
スタッフが長く働き続けられる施設かどうかは、直接的には「大人の働きやすさ」の指標ですが、それは同時に、子どもへの支援の質にも関わってきます。
- スタッフの入れ替わりが少ないほど、子どもとの関係が長く続きやすい
- 慣れ親しんだスタッフがいることは、子どもにとって安心材料になる
- 定着したスタッフが多い施設は、経験の蓄積が支援の質に反映されやすい
- 人材育成・定着度指数は、直接支援を見えにくい形で支える、重要な指標である
スタッフの定着度は、目に見えにくい指標ですが、子どもにとっての「安心できる環境の継続性」を支える、大切な土台になっています。
スタッフが長く働き続けられる施設の条件整理
| 条件の傾向 | 具体的な内容 |
| 勤続年数の長いスタッフの在籍 | 指数5点の施設で45%が勤続10年以上を明記 |
| 研修への継続的な参加 | 職員全員でのスキルアップの取り組み |
| 「職員資質の向上」への明確な取り組み | 専門職採用と研修の組み合わせ、事業内研修の実施 |
安心して選べる放デイ・児童発達支援を探すために
放課後等デイサービス・児童発達支援は、
- スタッフ体制
- 支援内容
- 専門性
- 雰囲気
- 子どもとの相性
など、質の差が非常に大きいです。
どこを選べばいいか迷う場合は、 一定の基準を満たした施設を選ぶと安心できます。
CDQ認証サイトでは、認証基準をクリアした療育施設を一覧で確認でき、 質の担保された施設選びがしやすくなります。
私ども一般社団法人 人間力認定協会では、療育の質を見える化するプロジェクトとして「CDQ認証」という制度を設けました。本サイトでは一定の基準を満たした優良施設のみを掲載・紹介しています。
児童発達支援士について
ここまで、スタッフが長く働き続けられる施設に見られる条件についてご紹介してきました。
こうした施設選びの視点と合わせて、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。
資格の有無が施設選びの基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|スタッフが長く働き続けられる施設の条件に関するよくある質問
Q1:勤続年数の長いスタッフがいる施設は、どうやって確認できますか?
CDQ認証サイトなど、施設情報を公開しているサイトで確認できる場合があります。記載がない場合は、見学時に直接尋ねてみることをおすすめします。
Q2:スタッフの入れ替わりが多い施設は、避けたほうがよいですか?
一概には言えませんが、子どもとの関係の継続性という観点では、定着度の高い施設のほうが安心材料になりやすいと言えます。
Q3:研修への参加状況は、保護者にとってどんな意味がありますか?
研修に継続的に参加している施設は、支援の質を維持・向上させる意識が高いと考えられます。自己PR文などで確認できる場合があります。
Q4:人材育成・定着度指数は、どうやって算出されているのですか?
勤続年数や研修参加など、全13項目の該当状況をもとに算出されています。詳細はCDQ認証サイトをご確認ください。
Q5:この指数は、子どもへの支援内容と直接関係がありますか?
直接的な支援内容を表すものではありませんが、スタッフが安定して働き続けられる環境は、支援の継続性という点で、間接的に子どもへの支援の質に関わってくると考えられます。
まとめ|スタッフの定着は、支援の継続性を支える土台になる
CDQ認証サイトに登録されている全国7,758施設のデータを見ると、スタッフが長く働き続けられる施設には、共通する条件があることが分かりました。
- 勤続年数の長いスタッフの在籍が、指数の高さと直結する
- 研修への継続的な参加が、施設の方針として明記されている
- 「職員資質の向上」を明確な目標として掲げる施設もある
スタッフの定着は、直接的には「大人の働きやすさ」を表す指標ですが、それは同時に、子どもにとっての「安心できる環境の継続性」を支える、大切な土台にもなっています。
施設を選ぶ際には、支援内容だけでなく、こうしたスタッフの定着や育成への取り組みにも目を向けることが、長く安心して利用できる施設を見つける手がかりになります。
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、CDQ認証サイトに登録されている全国の児童発達支援・放課後等デイサービス施設(7,758件)の情報をもとにまとめています。人材育成・定着度指数は、WAM NET掲載情報をもとに当協会が定めた基準で算出したものであり、施設の支援の質そのものを完全に表すものではありません。施設を選ぶ際は、記事の内容を参考情報としつつ、各施設への直接の確認や見学を通じて、総合的に判断してください。


