感覚統合・協調運動の視点を、支援にどう活かすか|支援者学習シリーズ

発達性協調運動障害(DCD)や、感覚統合の視点は、保育・教育現場ではまだ十分に扱われていない分野です。しかし、日常の姿勢や動き、遊びの中に、支援のヒントが多く隠れています。

たとえば、

  • 姿勢が崩れやすいことが、学習や集中の妨げになっている
  • 「不器用さ」の背景に、協調運動の特性が関わっていることがある
  • 感覚統合という概念が、従来の保育・教育現場では十分に扱われていない
  • 遊びや日常の活動を通じて、感覚統合の視点を実践できる
  • 具体的な手法を学びたいという支援者のニーズが高い

といった視点です。

感覚統合や協調運動への理解は、「不器用な子」という見方を、「体の使い方に特性がある子」という見方へと変えてくれます。

私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、感覚統合や協調運動の視点は、支援者にとってまだ十分に知られていないものの、日々の実践に大きなヒントを与える分野だと感じています。

当協会が主催している意見交換会に参加された方の事前アンケートを見ても、感覚統合・協調運動に関する声は、多く見られました。

この記事では、一般社団法人 人間力認定協会が開催する意見交換会に寄せられた721名の自由記述をもとに、感覚統合・協調運動の視点を、支援にどう活かすかについて整理していきます。

>「感覚統合」をわかりやすく解説!子どもの“困りごと”の裏側にある脳の仕組み

本記事で紹介している一次情報について

本記事では、児童発達支援士の意見交換会に参加された方から寄せられた自由記述をもとにしています。

項目内容
実施主体一般社団法人 人間力認定協会
対象児童発達支援士 意見交換会の参加者
有効回答数721名
データ取得期間2021年7月~2026年5月
回答形式自由記述
主な回答者属性保護者、保育士、教員、療育施設スタッフ、支援員、祖父母など
質問1児童発達支援士を受講した理由は?
質問2さらに深めたい知識はありますか?
質問3協会にどんな活動を期待しますか?
質問4発達障害児支援に関するエピソード
分析方法自由記述内で多く語られた言葉や文脈をもとに整理

今回の記事では、主に感覚統合・発達性協調運動障害(DCD)に関する自由記述を中心に扱います。

自由記述を見ると、感覚統合・協調運動をめぐる声として、次のような内容が見られました。

  • 姿勢や体の使い方への気づきが、学びやすさにつながる
  • 「感覚統合」は、保育・教育現場でまだ十分に扱われていない視点
  • 具体的な手法を学びたいというニーズが高い

これらの声からは、感覚統合や協調運動の視点が、まだ現場に十分浸透していない一方で、支援者からの学びへのニーズは高いことが分かります。

感覚統合・協調運動をめぐる3つの視点

感覚統合・協調運動をめぐる3つの視点

自由記述を整理すると、感覚統合・協調運動をめぐる視点は、大きく3つに分けられます。

ここからは、それぞれについて、実際の声も交えながら見ていきます。

① 姿勢や体の使い方への気づきが、学びやすさにつながる

姿勢の崩れなど、体の使い方に関する小さな気づきが、学習や集中のしやすさに影響していることがあります。

実際の自由記述にも、そうした気づきに関する声が見られました。

子の姿勢に関して、今まではソファでテレビを見させていたのですが、そのせいで学習の時も姿勢が崩れてしまっていました。そこでソファを撤去し、椅子にてテレビを見てもらうようにしました。

この声からは、日常の何気ない環境(座る場所など)が、姿勢や学習の様子に影響していることに気づき、具体的な行動へとつなげた実例が見えてきます。

  • 座る環境が、姿勢や集中のしやすさに影響することがある
  • 「不器用さ」や「姿勢の崩れ」は、日常の環境要因からも生まれうる
  • 小さな環境の変更(家具の見直しなど)が、意外な効果につながることがある
  • 体の使い方への気づきは、専門知識がなくても、日常の観察から始められる

姿勢や体の使い方への気づきは、専門的な訓練の前に、日常の環境を見直すことから始めることができます。

>「落ち着きがない」は性格?発達特性?幼稚園・保育園の集団生活で見えてくる原因とあたたかい関わり方

② 「感覚統合」は、保育・教育現場でまだ十分に扱われていない視点

感覚統合という概念は、発達支援において重要視されているものの、実際の保育・教育現場では、まだ十分に扱われていないという声があります。

実際の自由記述にも、そうした現状に関する声が見られました。

保育士としては発達の基礎や行動の理解は学んでいるものの、具体的に「感覚統合」という概念に深く踏み込んだ学びは限定的でした。感覚統合の観点から子どもの行動を捉えることは、子どもの個別性をより正確に理解し、その子に最適な関わり方を見つける手がかりになると感じています。

この声からは、保育士としての基礎的な学びの中では、感覚統合という視点が十分にカバーされておらず、専門的に学ぶ機会が限られている現状があると分かります。

  • 感覚統合は、従来の保育士養成課程などでは十分に扱われていないことがある
  • 感覚統合の視点は、子どもの行動をより正確に理解する手がかりになる
  • 現場で働く支援者ほど、この視点の必要性を実感している
  • 専門的な学びの機会を、自ら求めて補おうとする姿勢が見られる

感覚統合という視点が現場に十分浸透していないからこそ、学ぼうとする支援者の姿勢そのものが、支援の質を底上げする力になります。

③ 具体的な手法を学びたいというニーズが高い

感覚統合や協調運動について、より具体的な手法(遊びやアクティビティなど)を学びたいという声も、数多く見られました。

実際の自由記述にも、そうした学びへのニーズに関する声がありました。

感覚統合の考えをもとに個々にあった発達を促す遊びについて、もっと知りたいです。

発達性協調運動障害に役立つトレーニングの情報を知り、知識を深めたいと思います。

これらの声からは、感覚統合や協調運動への理解を、理論だけでなく、日常の遊びや活動に落とし込みたいという、実践的な学びへのニーズがあることが分かります。

  • 理論的な理解だけでなく、具体的な遊びや活動への応用を求める声が多い
  • 「個々にあった発達を促す遊び」という視点が重視されている
  • トレーニングという形での実践方法にも、関心が寄せられている
  • 実践的な知識は、日々の保育・療育の場ですぐに活かせるという利点がある

具体的な手法への関心の高さは、支援者が理論と実践をつなげたいという、切実なニーズの表れです。

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「不器用な子」から「体の使い方に特性がある子」への見方の転換

協調運動に困難がある子どもは、周囲から「不器用な子」として見られてしまうことがあります。

しかし、感覚統合や協調運動の視点を学ぶことで、その見方は大きく変わっていきます。

  • 「不器用」という評価は、努力不足という誤解につながりやすい
  • 体の使い方の特性として理解することで、対応の仕方が変わる
  • 感覚統合の視点は、運動面だけでなく、学習や対人面にも関わっている
  • 見方が変わることで、子どもへの関わり方そのものが変化していく

「不器用な子」から「体の使い方に特性がある子」への見方の転換は、支援者自身の視野を広げ、子どもへのより深い理解につながります。

日常の遊びの中に、感覚統合の視点を取り入れる

感覚統合の視点は、特別な訓練の場だけでなく、日常の遊びの中にも取り入れることができます。

  • バランス遊び、粗大運動を伴う遊びなどが、感覚統合の視点と関連している
  • 特別な道具がなくても、日常の遊びの中で取り入れられる工夫がある
  • 遊びを通じた学びは、子どもにとって負担が少なく、継続しやすい
  • 専門的な知識を、日常の実践に落とし込む工夫が求められている

日常の遊びの中に感覚統合の視点を取り入れることは、専門的な学びを、無理なく実践につなげていく方法の一つです。

感覚統合・協調運動をめぐる視点の整理

視点の傾向大切にしたい姿勢
姿勢や体の使い方への気づきが、学びやすさにつながる日常の環境(座る場所など)から見直してみる
「感覚統合」は、保育・教育現場でまだ十分に扱われていない視点現場での学びの不足を、自ら補おうとする姿勢を持つ
具体的な手法を学びたいというニーズが高い理論を日常の遊びや活動に落とし込む工夫をする

家庭での関わりを整えるために役立つ学び

感覚統合や協調運動への理解は、発達特性だけでなく、環境・関わり方・本人の感じ方や経験など、さまざまな要因が複雑に関係しています。

そのため、「どう関わればいいか分からない」と感じたときは、保護者や支援者だけで抱え込まず、発達支援に関する知識や考え方を少しずつ学んでいくことも大切です。

実際には、

  • 発達障害や感覚特性に関する書籍を読む
  • 療育施設や支援機関に相談する
  • 保護者会や経験者の声を参考にする
  • 専門資格や研修で体系的に学ぶ

など、さまざまな学び方があります。

大切なのは、「子どもを無理に変える方法」を探すことではなく、子どもの特性や困りごとの背景を理解し、少しでも体の使い方や感覚の特性に気づける視点を持つことです。

当協会が認定する「児童発達支援士」でも、

  • 発達特性の理解
  • 行動の背景を読み解く視点
  • 環境調整の基本
  • 保護者支援やコミュニケーション
  • 家庭や支援現場で活かしやすい支援の考え方

などを体系的に学ぶことができます。

「完璧な支援」を目指す必要はありません。

まずは、”なぜこの行動が起きるのか”を知ることが、感覚統合・協調運動の視点を支援に活かしていく第一歩になります。

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Q&A|感覚統合・協調運動の視点に関するよくある質問

Q1:「不器用な子」と「発達性協調運動障害の子」は、何が違うのですか?

明確な線引きは専門家による評価が必要ですが、「努力不足」ではなく「体の使い方に特性がある」と理解する視点を持つことが、関わり方を変える第一歩になります。

Q2:姿勢の崩れを改善するために、家庭でできることはありますか?

座る環境(椅子やソファの見直しなど)から始めてみることも一つの方法です。日常の小さな環境調整が、姿勢や集中のしやすさに影響することがあります。

Q3:感覚統合について、保育士や教員はどこで学べますか?

養成課程では十分に扱われていない場合が多いため、専門的な研修や資格取得を通じて、自ら学ぶ機会を作ることが助けになります。

Q4:感覚統合の視点を、日常の遊びに取り入れるには、どうすればよいですか?

バランス遊びや粗大運動を伴う遊びなど、特別な道具がなくても取り入れられる工夫があります。専門書や研修で具体的な方法を学ぶこともおすすめです。

Q5:協調運動の困難は、学習面にも影響しますか?

影響することがあります。姿勢や体の使い方は、集中力や学習の取り組みやすさにも関わっているため、体の面からのアプローチも大切な視点です。

まとめ|感覚統合・協調運動の視点が、支援の幅を広げる

当協会が主催している意見交換会に参加された方の事前アンケートを見ると、感覚統合や協調運動について、多くの支援者が学びを求めていることが分かりました。

自由記述では、

  • 姿勢や体の使い方への気づきが、学びやすさにつながる
  • 「感覚統合」は、保育・教育現場でまだ十分に扱われていない視点
  • 具体的な手法を学びたいというニーズが高い

といった声が見られました。

感覚統合や協調運動への理解は、「不器用な子」という見方を、「体の使い方に特性がある子」という見方へと変えていきます。

日常の環境調整や遊びの中に、その視点を少しずつ取り入れていくことが、子どもの学びやすさと、支援者自身の理解の幅を広げていく力になります。

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、一般社団法人 人間力認定協会が開催する意見交換会に参加された保護者・支援者の実際の声をもとにまとめています。子どもの特性や発達の状況、家庭環境、支援との相性、感じ方には個人差があり、すべての子どもに同じ変化や結果が見られるわけではありません。支援方法や対応について判断する際は、必要に応じて医師・専門家・支援機関などと相談しながら進めてください。この記事は、保護者や支援者が理解や選択の参考にするための情報としてご活用ください。

一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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