加配の先生がついても、それだけで支援がうまくいくとは限りません。実際には、現場の職員間、専門家、そして家庭との間で、どう情報や配慮を共有していくかが、支援の質を大きく左右します。
たとえば、
- 担任と加配の先生の間で、子どもの様子がうまく共有できない
- 専門家が不在の環境で、手探りの対応を続けることになる
- 家庭で分かっていることが、現場にうまく伝わらない
- 逆に、現場で気づいたことが、家庭に伝わりにくいこともある
といった悩みです。
加配は「先生が一人増える」ことではなく、「その子を見る目が増える」ことです。増えた目と目をどうつなぐかが、連携の本質です。
この記事では、加配における連携の仕方について、一般的な知識に加え、当協会に寄せられた保育・教育現場の方々や保護者の方々の体験談をもとに整理していきます。
目次
本記事で紹介している情報について
本記事は、加配・連携に関する一般的な知識を中心に、当協会が収集した体験談(療育施設利用エピソード、児童発達支援士受講後アンケート)の中から、連携に関する実際の声を交えて構成しています。
| 項目 | 内容 |
| 情報の性質 | 加配・連携に関する一般的な知識+当協会体験談アンケートより抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 参照した体験談 | 療育施設利用エピソード、児童発達支援士受講後アンケートの自由記述の中から、加配・連携に関する記述を抽出 |
| 注意点 | 加配の運用は自治体・園・学校によって異なるため、一般的な傾向として紹介しています |
現場の職員間で、情報や配慮を共有することの難しさ
同じ子どもに関わる職員同士であっても、立場や経験の違いから、情報や配慮の共有がうまくいかないことがあります。
実際の体験談にも、そうした難しさに関する率直な声が見られました。
保育園内での辛い事は勤務してから10年近くになりますが、担任との共有が全く出来ず、心が折れてしまい自宅に帰宅して泣く事もありました。正規の職員は療育も加配も経験なく、「甘やかしてるんじゃない?」とか。(中略)園長先生、主任、副主任は理解があり励まして下さり頑張ってこれたと思います。
この声からは、加配として現場に立つ人が、担任との共有に苦しみながらも、園全体としての理解が支えになっていたことが分かります。
- 加配の担当者と担任との間で、認識や情報にズレが生まれることがある
- 経験の差から、対応方針をめぐって意見が食い違うこともある
- 直属の関係者だけでなく、園長や主任など、上位の立場からの理解が支えになることがある
- 一人で抱え込まず、組織全体で子どもを見る視点が大切
現場での連携がうまくいかないときこそ、身近な相手だけでなく、園全体としての理解者を見つけていくことが助けになります。
>【園・担任との連携編】加配保育士と「クラス担任」はどう連携している?チームで子どもを育てる工夫
専門家が不在の環境で、手探りの連携を続ける現場
多くの保育・教育現場では、心理士など専門家が常駐しているわけではなく、加配担当者は手探りで対応を続けています。
実際の体験談にも、そうした環境に関する声が見られました。
4月からの勤務先には3歳児11人クラスで4人が療育に、グレーの子が3名。4歳児10人クラスで療育に3人、グレーの子が3人と、とても支援のいる子が多くいる保育所です。ふたクラスの加配として入っております。園には臨床心理士などの専門家が訪問してくれることもなく、どのように支援をしていけばよいのか迷うことが多く受講させていただきました。
この声からは、支援が必要な子どもの割合が高いクラスであっても、専門家によるサポート体制が十分でないまま、加配担当者が対応にあたっている現実があることが分かります。
- 専門家が訪問・常駐していない園は少なくない
- 支援が必要な子どもの人数が多いクラスほど、加配担当者への負担が大きくなる
- 「迷うことが多い」という率直な声は、多くの加配担当者に共通する感覚である
- 外部の研修や資格取得が、専門家不在を補う手段の一つになっている
専門家が身近にいない環境だからこそ、加配担当者自身が学び、知識を蓄えていくことが、現場を支える力になっています。
>3歳児クラスの「加配」ってどんなサポートをしているの?現場の幼稚園教諭・保育士が伝えるリアルな1日と安心の工夫
家庭・現場・療育をつなぐことが、子どもの安定につながる
家庭・園・療育機関という異なる立場の間で情報がつながることで、子どもへの対応がスムーズになった例もあります。
実際の体験談にも、そうした連携の効果に関する声が見られました。
療育から幼稚園のほうに園訪問をしてくれていたので、幼稚園での子どもの対応が変わりました。絵カードや写真などで子どもに対応してくれたり、また加配の先生がついていなかったのですが、療育の先生から園に伝えてくださったので、長女は年中さんから、長男は年少さんから加配の先生がついてくれたので、不安だった園生活もスムーズになりました。
この声からは、保護者からの働きかけだけでなく、療育施設という第三者からの情報提供が、加配につながる大きな後押しになったことが分かります。
- 療育施設のスタッフが園を訪問し、直接情報を伝えることが効果的な場合がある
- 専門的な立場からの働きかけは、保護者からの説明よりも通りやすいことがある
- 家庭・園・療育、それぞれが持っている情報を一箇所に集約する意識が大切
- 「誰が」伝えるかによって、同じ内容でも伝わり方が変わることがある
家庭・現場・療育機関がそれぞれの立場でつながり合うことが、子どもにとって一貫した支援環境をつくる力になります。
加配における連携の整理
| 連携の場面 | 大切にしたい視点 |
| 現場の職員間 | 身近な相手だけでなく、園全体としての理解者を見つける |
| 専門家不在の環境 | 外部の研修や資格取得で知識を補う |
| 家庭・現場・療育の連携 | 第三者からの情報提供が、後押しになることがある |
児童発達支援士について
ここまで、加配における連携の仕方についてご紹介してきました。
こうした現場での連携を支える力として、保護者の方やご家族、現場で働く支援員の方々の間でも、発達障害への理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「児童発達支援士」は、発達特性の理解や、行動の背景を読み解く視点、家庭や支援現場で活かしやすい関わり方などを、体系的に学べる民間資格です。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、お子さまと日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|加配における連携に関するよくある質問
Q1:担任と加配担当者の意見が合わないとき、どうすればよいですか?
まずは率直に話し合うことが基本ですが、それでも難しい場合は、園長や主任など、上位の立場の人に相談することも一つの方法です。
Q2:園に専門家がいない場合、どうすればよいですか?
外部の研修や資格取得を通じて知識を補う方法があります。また、療育施設など外部の専門機関に相談することも助けになります。
Q3:療育施設から園に情報を伝えてもらうことはできますか?
多くの療育施設で、園や学校への訪問・情報共有を行っています。気になる場合は、通っている療育施設に相談してみることをおすすめします。
Q4:家庭での様子を、加配の先生にどう伝えればよいですか?
連絡帳や面談の機会を活用し、具体的な場面(家庭で困っていること、うまくいった対応など)を伝えることが助けになります。
Q5:加配の連携がうまくいかず孤立を感じるとき、どうすればよいですか?
一人で抱え込まず、園全体や外部の支援者とのつながりを探すことが大切です。同じ立場の支援者との交流も、心の支えになります。
まとめ|加配は、増えた「目」をどうつなぐかが本質
加配における連携は、単に人員が一人増えることではなく、子どもを見る目が増えることを意味します。
- 現場の職員間での情報共有には、難しさが伴うことがある
- 専門家が不在の環境では、加配担当者自身の学びが支えになる
- 家庭・現場・療育機関の連携が、子どもの安定につながる
増えた「目」と「目」をどうつなぐかという視点を持つことが、加配を子どもにとって意味のある支援にしていく鍵になります。
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、加配制度に関する一般的な知識と、当協会が収集した体験談の一部をもとにまとめています。加配の運用は自治体・園・学校によって異なります。実際の連携方法については、お住まいの自治体や利用中の園・施設に直接ご確認ください。


