発達障害のある子どもは、 光・音・匂い・触覚・味覚・温度・痛み など、日常のあらゆる刺激に対して 「強く感じすぎる(過敏)」 「感じにくい(鈍麻)」 という特徴を持つことがあります。
これらは単なる“好き嫌い”や“わがまま”ではなく、 脳が刺激をどう処理するか に関わる特性です。
私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、 感覚過敏・鈍麻は、子どもの行動の背景に深く関わっていることを何度も見てきました。
この記事では、児童発達支援士を受講した保護者や支援者の声をもとに、感覚過敏・鈍麻の仕組み・種類・生活への影響を体系的に整理します。
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感覚過敏・鈍麻に関する調査概要
- 調査名:感覚過敏・鈍麻に関する調査概要
- 調査目的:発達障がい児の感覚過敏や鈍麻の実態を把握するとともに、適切な対応を知るため
- 調査対象:発達障害のある子どもを支援する保護者や支援者
- 有効回答数:90名
- 調査方法:Webアンケート調査
- 募集期間:2025年5月~2026年3月(継続的な調査)
- 調査主体:一般社団法人 人間力認定協会
- 作成責任者:事務局長 望月宏彰
感覚過敏・感覚鈍麻とは何か

① 感覚過敏とは「刺激を強く感じすぎる状態」です
感覚過敏は、 脳が刺激を“過剰に拾いすぎる”状態 を指します。
- 光がまぶしすぎる
- 音が大きく聞こえる
- 匂いが強烈に感じる
- 服のタグが痛い
- 食べ物の味が混ざると耐えられない
など、一般的には気にならない刺激が、 本人にとっては“痛み”や“恐怖”に近いレベル で感じられます。
脳の仕組みとしては
- 感覚入力を調整する「フィルター機能」が弱い
- 不必要な刺激まで拾ってしまう
- 刺激の強さを調整できない
という状態が起きています。
誤解されやすいポイント
- 「気にしすぎ」ではない
- 「慣れれば大丈夫」ではない
- 「わがまま」ではない
脳の処理の仕方が違うだけ です。
② 感覚鈍麻とは「刺激を感じにくい状態」です
感覚鈍麻は、 刺激を弱く感じる、または気づきにくい状態 を指します。
- 暑さや寒さを感じにくい
- 痛みに気づかない
- 服が濡れていても気にならない
- 体調の変化に気づかない
など、周囲が「危ない」と感じる刺激にも反応が薄いことがあります。
鈍麻は“危険”につながりやすい
- 真冬に半袖で外出
- 熱中症に気づかない
- ケガをしても痛みを訴えない
- 体調悪化に気づかない
過敏よりも見逃されやすく、リスクが高い特性 です。
③ 感覚過敏・鈍麻は「感覚の種類ごとに全く違う顔」を持ちます
感覚は大きく分けて以下の7種類あります。
- 視覚(光・色・動き)
- 聴覚(音・声・雑音)
- 触覚(服・水・温度・他者接触)
- 嗅覚(匂い)
- 味覚(味・食感・混ざる味)
- 固有感覚(体の位置・力加減)
- 前庭感覚(バランス・揺れ)
児童発達支援士を受講した保護者や支援者の声(一次情報)でも、 同じ子どもでも“視覚は過敏、触覚は鈍麻”というように混在しているケースが多いです。
④ 感覚過敏・鈍麻は「生活のあらゆる場面」に影響します
家庭
- 服が着られない
- 髪が結べない
- 掃除機・ミキサーが使えない
- 食べられるものが極端に少ない
- お風呂のシャワーが無理
学校・園
- 給食が食べられない
- 校内放送でパニック
- 体育・プールが難しい
- 服薬ができない
- 集団活動が苦手
外出・公共の場
- 映画館で音酔い
- 落ち葉や虫で歩けない
- 人混みで疲れやすい
- 電車・地下鉄の空気が苦手
感覚の問題は、行動・学習・社会参加に直結する大きなテーマ です。
⑤ 感覚過敏・鈍麻は「成長とともに変化する」ことがあります
保護者や支援者の声でも多く見られた共通点は以下の通りです。
- 小さい頃は掃除機が無理だった → 高校生で慣れた
- 服が着られなかった → 試着を重ねて少しずつ選べるように
- 服薬ができなかった → 錠剤を4分の1から練習して飲めるように
“慣れ”ではなく、“理解 × 工夫 × 成長”の積み重ねで変化していく。
⑥ 感覚過敏・鈍麻の支援の原則
無理に慣れさせない
強制は逆効果。恐怖記憶が強化される。
事前予告・見通しが効果的
- 音
- 光
- 匂い
- 触覚刺激 は「突然」が一番つらい。
環境調整が最も効果的
- イヤーマフ
- 遮光レンズ
- 柔らかい服
- 代替案
- ルール化
- 合理的配慮
本人の“感覚の地図”を理解する
- 何が苦手か
- どの程度か
- どんな状況で強まるか
- どうすれば落ち着くか
本人のペースで“できる範囲”を広げる
- 小さな成功体験
- 選択肢を増やす
- 本人の意思を尊重する
>肌ざわりや温度に敏感な子どもの困りごと|服・髪・水・温度の過敏・鈍麻と支援
感覚過敏・感覚鈍麻で生活に影響しやすかった困りごと
| 感覚の違いで起きやすかったこと | 背景にあった負担や特徴 |
| 光・音・匂いで強く疲弊する | 刺激を過剰に拾いやすかった |
| 服・食事・入浴を極端に嫌がる | 触覚や味覚への負荷が大きかった |
| 人混みや教室で不安定になる | 複数刺激を同時に処理する負担が強かった |
| 暑さ・寒さ・痛みに気づきにくい | 感覚鈍麻による安全面のリスクがあった |
| 「わがまま」と誤解されやすい | 困りごとの背景が周囲に見えにくかった |
感覚過敏・鈍麻に関する保護者や支援者の声
実際に児童発達支援士を受講した保護者や支援者からは、次のような経験談をいただいています。
① 聴覚過敏:雷・花火・掃除機
「雷が鳴ると天気アプリから目が離せない」
「掃除機をかける間中泣き続けていた」
② 触覚鈍麻:暑さを感じない
「真冬でも半袖ハーフパンツで過ごす」
「脱水や熱中症が心配」
感覚過敏・鈍麻を理解するために役立つ学び
感覚の問題は、 発達特性・環境・刺激の種類・本人の経験 が複雑に絡み合って起きます。
児童発達支援士では、
- 発達特性を理解するための基礎
- 感覚の違いを捉える視点
- 行動の背景を読み解く力
- 無理のない支援の判断軸
といった、日常の関わりに役立つ基礎的な理解を身につけることができます。

まとめ:感覚の違いは“行動の背景”を理解する鍵
感覚過敏・鈍麻は、 子どもの行動の背景にある“見えない困りごと”です。
- 過敏は「強く感じすぎる」
- 鈍麻は「感じにくい」
- 種類ごとに特徴が違う
- 生活のあらゆる場面に影響する
- 成長とともに変化する
- 支援は“無理をさせない”ことが基本
感覚の違いを理解することは、 子どもの行動を正しく読み解き、安心できる環境を整える第一歩 です。
>感覚過敏・感覚鈍麻のすべて|種類別×シーン別で理解する完全ガイド【家庭・学校・外出の困りごとと支援】
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、 児童発達支援士の受講者アンケートなどに寄せられた 保護者・支援者の実際の声 をもとにまとめています。
感覚過敏・感覚鈍麻の感じ方や困りごとは 個人差 が大きく、 すべての子どもに同じ特徴や変化が当てはまるわけではありません。
感覚に関する困りごとが強く、 生活に支障が出ている場合や安全面が心配な場合 は、 医師・専門機関・学校や園の担当者など、 専門家と相談しながら対応を進めることが大切です。
この記事は、保護者が子どもの困りごとを理解し、 関わり方を考えるための参考情報としてご活用ください。

