友達とのトラブルが減るSST療育「モデリング&リハーサル法」

友達との順番でトラブルになる、勝ち負けにこだわって癇癪を起こしてしまう。そんなお子さんに向けて、SSTという療育の技法「モデリング&リハーサル」を使った家庭での関わり方をご紹介します。

こんなお子さんにおすすめ

  • 順番待ちやルールのある遊びで、友達とトラブルになりやすい
  • 負けることへのこだわりが強く、ゲームの途中で怒り出してしまう
  • どう声をかければいいか分からず、友達との関わりを避けてしまう
  • 集団遊びの場面で固まってしまい、参加できないことがある

こうした様子は、わざとトラブルを起こしているのではなく、「その場でどう行動すればいいか」を具体的にイメージできていないことが背景にある場合があります。

この療育でできるようになること

大人が先に行動の「お手本」を見せ(モデリング)、同じ行動を子どもに練習してもらう(リハーサル)という、SSTの基本サイクルを使った方法です。特別な教材がなくても、家庭での会話や遊びの中で今日から取り入れられます。

モデリング&リハーサル法 実践ステップ

実践ステップ

Step1:練習する場面を1つに絞る

「順番を待つ」「負けたときに次を誘う」など、今困っている場面を1つだけ選びます。一度に複数のスキルを教えようとすると、子どもが混乱しやすくなります。

Step2:大人が先にお手本を見せる(モデリング)

「じゃあ先にやってみるね」と、大人がその場面での望ましい行動を実際にやって見せます。表情やセリフを少し大げさにすると、何がポイントかが伝わりやすくなります。

Step3:同じ行動を子どもにやってもらう(リハーサル)

見せたお手本と同じ行動を、今度は子ども自身にやってもらいます。うまくできなくても、途中で止めずに最後までやらせてあげてください。

Step4:できた瞬間に具体的に褒める(フィードバック)

「待てたね」「次やろうって言えたね」のように、何ができたのかを具体的な言葉で伝えます。漠然と「えらいね」で終わらせないことがポイントです。

実践時の注意点

  • 完璧にできなくても叱らない:途中で崩れても、挑戦したこと自体を認める
  • 練習の場面と実際の友達関係の場面は別と考える:練習でできても、実際の場面ではまた一緒に確認が必要なことがあります
  • 家庭で練習したことは、園や学校の先生にも共有しておくと、同じ対応をしてもらいやすくなります

なぜこの療育的SSTが効果的なのか

発達に特性のある子どもの中には、「ルールは知っているのに、その場でどう行動すればいいかが分からない」というケースが少なくありません。言葉で説明するだけでは、実際の行動にうまく結びつかないことがあります。

国内の研究では、発達障害のある児童を対象に「教示、モデリング、リハーサル、実施」という順序でソーシャルスキルトレーニングを行ったところ、集団行動スキルについて効果が確認されたことが報告されています。また、衝動性の有無や対人関係への積極性によって効果に差が出ることも分かっており、子どもの特性に合わせて進め方を調整する重要性も示されています。

海外のメタ分析でも、SSTは行動面に困難のある子どもに対して、対照群と比較して64%の改善率を示す有効な介入方法であるとされています。「見せる→やってみる→褒める」というシンプルな流れは、特別な資格がなくても家庭で取り入れられる形にしたものです。

伝えたことが相手にきちんと伝わり、応えてもらえるという成功体験の積み重ねが大切という考え方は、絵カード(PECS)を使ったコミュニケーション支援の基本とも共通しています。あわせてご覧いただくと、コミュニケーション支援全般への理解が深まります。

モデリング&リハーサル法に関するよくある質問

Q. 何歳くらいから始められますか?

年齢の制限は特にありません。簡単な言葉でのやり取りができる年齢であれば、遊びの中に取り入れることができます。

Q. 1回の練習にどれくらい時間がかかりますか?

モデリングとリハーサルを合わせて5〜10分程度でも十分です。長時間続けるより、短時間でも繰り返す方が効果的です。

Q. 練習してもうまくいかない場合はどうすればいいですか?

一度でできるようにならなくても問題ありません。選ぶ場面が難しすぎないか見直し、より小さな行動に分解してから、再度モデリングからやり直してみてください。

Q. 兄弟やほかの子と一緒に練習してもいいですか?

可能です。むしろ兄弟や友達がお手本役になることで、より実際の場面に近い練習になる場合もあります。

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一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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