掃除機や雷の音を怖がって泣き止まない、癇癪を起こしてしまう。そんな聴覚過敏のあるお子さんに向けて、今日から家庭で取り組める療育的な対応方法「予告+防音具」をご紹介します。
目次
こんなお子さんにおすすめ
- 掃除機やドライヤー、換気扇の音を怖がって耳をふさぐ
- 雷や花火の音が鳴ると、パニックになってしまう
- 音が鳴る前からそわそわして落ち着かなくなる
- 体育館やプールなど、大きな音がする場所を嫌がって避けようとする
こうした様子に心当たりがある場合、聴覚過敏が背景にある可能性があります。
この療育でできるようになること
大きな音(掃除機・ミキサー・雷など)への恐怖や癇癪を、「音が鳴る前に伝える」+「防音具を使う」という2つの対応を組み合わせることで減らしていく方法です。特別な道具や資格は不要で、家庭でも今日から始められます。
予告+防音具活用法 実践ステップ

Step1:使う防音具を選ぶ
イヤーマフまたは耳栓を用意します。耳に痛みが出る場合は無理に使わせず、本人が嫌がらないタイプを探すことを優先します。
Step2:音が鳴る前に必ず予告する
掃除機やミキサーを使う前に、「今から掃除機をかけるよ」と一言伝えてから防音具を装着させます。何も言わずに突然音を出すことは避けます。
Step3:装着してから音を出す
予告→装着→音、の順番を毎回徹底します。この順番が崩れると「いつ鳴るかわからない」という不安が残ってしまいます。
Step4:繰り返し、少しずつ様子を見る
慣れてきたら、装着のタイミングや防音具の有無を本人の様子に合わせて調整します。無理に外させる必要はありません。
実践時の注意点
- 「慣れさせる」ことを目標にしない:防音具なしにすることがゴールではなく、本人が安心して過ごせることがゴールです
- 雷など予告できない音もある:その場合は「音が鳴ったらどうするか」の対処法(別室に移動する、好きな物を持たせる等)を別途決めておくと安心です
- 園や学校など家庭外でも使う場合は、周囲の大人にもこの方法を共有しておくと一貫した対応がしやすくなります
なぜこの療育的アプローチが効果的なのか
発達に特性のある子どもの中には、音・光・肌触りといった感覚情報を処理する過程でうまく調整ができず、特定の刺激を過剰に感じてしまう「感覚過敏」が見られることがあります。「いつ、何が起こるかわからない」という予測不能な状態は、この感覚過敏をさらに強く引き出してしまいます。
国立成育医療研究センターの研究によると、自閉スペクトラム症の子どもの7割以上が感覚処理の問題を抱えており、中でも聴覚過敏はおよそ9割と、発生頻度が特に高い特性であることが報告されています。また、長崎大学の研究では、聴覚過敏のある自閉スペクトラム症の患者25例を対象に、イヤーマフとノイズキャンセリングヘッドホンの効果が統計的に検証されています。さらに茨城大学の研究でも、教員や支援者による働きかけが、自閉症児の聴覚過敏の軽減に効果があることが示されています。
つまり、「防音具を使う」ことにも「周囲の大人が事前に関わる(予告する)」ことにも、それぞれ研究の裏付けがあります。この2つを組み合わせた今回の方法は、特別な道具や専門資格がなくても、家庭で今日から取り組める形にしたものです。
療育・発達支援の現場でも、感覚面への配慮を行う施設は少なくありません。CDQ認証施設の中にも、感覚統合の視点を取り入れたプログラムを実施しているところが複数あります。
予告+防音具活用法に関するよくある質問
Q.どのくらいで効果を感じられますか?
個人差が大きく、数日で落ち着く子もいれば、数ヶ月かけて少しずつ慣れていく子もいます。大切なのは「防音具なしにする」ことを急がず、予告と装着の順番を崩さずに続けることです。
Q.保育園や学校でも同じ対応をお願いできますか?
可能です。ただし現場では「毎回予告する」ことを徹底しにくい場合もあるため、まずは担任や職員に聴覚過敏があることを伝え、音が鳴る活動(避難訓練や運動会の練習など)の前だけでも予告してもらえるよう相談してみることをおすすめします。
Q.イヤーマフや耳栓を嫌がって着けてくれません。どうすればいいですか?
無理に着けさせる必要はありません。耳に触れる感覚自体が苦手な子もいるため、その場合はタイプや素材を変えて試す、着ける練習を音のない場面から始める、といった形で焦らず進めてください。
Q.何歳くらいから試せますか?
年齢の制限は特にありません。幼児の場合は「予告の言葉」を理解できているかを目安に、本人の反応を見ながら無理のない範囲で取り入れてください。
発達障害や療育の知識を深めたい方へ
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児童発達支援士
発達障害の特性、ABA・TEACCH、感覚統合など、支援の土台となる知識を体系的に学べる基礎資格です。発達支援を初めて学ぶ方、「この関わり方で合っているのか」という不安を解消したい方におすすめです。児童発達支援士の詳細はこちら。
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