片付けられない子がラクになる療育的収納法「ワンアクション収納法」

おもちゃや物が多くて、どこから手をつけていいか分からず固まってしまう。片付けを促すと癇癪になってしまう。そんなお子さんに向けて、今日から家庭で取り組める療育的収納法「ワンアクション収納法」をご紹介します。

こんなお子さんにおすすめ

  • おもちゃが出しっぱなしで、片付けようとすると固まってしまう
  • 「片付けて」と言われても何から手をつけていいか分からない様子がある
  • 片付けの途中で違う遊びを始めてしまい、終わらない
  • 片付けを促すと癇癪になったり、やる気をなくしてしまう

こうした様子は、わがままや集中力不足ではなく、片付けという作業自体に必要な「手順を考える」負担が大きいことが背景にある場合があります。

この療育でできるようになること

片付けを「カテゴリーごとの箱に、ただ入れるだけ」という1アクションにまで単純化することで、子ども自身が迷わず最後まで片付けを終えられるようにする方法です。特別な道具は不要で、家にある箱やカゴで今日から始められます。

ワンアクション収納法 実践ステップ

実践ステップ

Step1:持ち物を3〜4カテゴリーに分ける

すべての物を細かく分類するのではなく、「ブロック」「ぬいぐるみ」「絵本」など、最初は3〜4つの大きなカテゴリーに絞ります。カテゴリーが多すぎると、かえって迷う原因になります。

Step2:1カテゴリーに1つの箱を用意し、ラベルを貼る

箱ごとに写真・イラスト・文字などのラベルを貼り、どの箱に何を入れるかを一目で分かるようにします。視覚的な手がかりがあることで、言葉で説明されなくても自分で判断しやすくなります。

Step3:「とりあえず箱に入れるだけでOK」というルールにする

箱の中できれいに並べる必要はありません。まずは「正しい箱に入れる」ことだけをゴールにします。細かい整頓を同時に求めると、ハードルが上がってしまいます。

Step4:片付けの時間を区切り、終わったら一緒に確認する

「タイマーが鳴るまで」など時間を区切り、終わったら「ここまでできたね」と一緒に確認します。完璧さより「最後までできた」という経験を優先します。

実践時の注意点

  • 最初からすべての持ち物を対象にしない:まずはリビングやランドセルなど、困りごとが大きい場所から始める
  • カテゴリーの分け方は子どもと一緒に決める:大人が決めたカテゴリーが本人にとって分かりにくい場合もあるため
  • 「きれいに並べる」ことを同時に求めない:まずは仕組みに慣れることを優先する

なぜこの療育的な工夫が効果的なのか

片付けという作業には、「何がどこにあるか把握する」「どれから手をつけるか決める」「手順通りに進める」といった、実行機能(プランニングやワーキングメモリ)が同時に必要になります。発達に特性のある子どもの中には、この実行機能の負荷が大きいことで、片付けの「開始」自体が難しくなっている子が少なくありません。

国の科学研究費による発達障害児を対象にした研究では、視覚的な刺激を用いた手がかりの提示が、実行機能を必要とする日常生活上の課題のサポートに役立つことが検討されています。カテゴリーごとの箱とラベルは、まさにこの「視覚的な手がかり」にあたり、子どもが自分で判断・実行するための負荷を減らす役割を果たします。

また、片付けの手順を「箱に入れるだけ」という1アクションにまで減らすことも、同じ考え方に基づいています。手順の数が少ないほど、実行機能への負荷は小さくなり、最後までやり遂げやすくなります。

なお、物の分類やラベルによる視覚支援という考え方は、絵カードを使ったコミュニケーション支援とも共通する部分があります。視覚的な手がかりを使った関わり方全般に関心のある方は、絵カード(PECS)を使ったコミュニケーション支援の基本もあわせてご覧ください。

ワンアクション収納法に関するよくある質問

Q.どのくらいで片付けられるようになりますか?

箱とラベルを用意した初日から、以前よりスムーズに進むケースも多くあります。ただし「習慣として定着する」までは数週間かかることもあるため、最初のうちは一緒に確認しながら進めることをおすすめします。

Q.カテゴリーは子どもの年齢に合わせて変えた方がいいですか?

はい。小さいお子さんほどカテゴリー数を少なく(2〜3個程度)、年齢が上がるにつれて少しずつ増やしていくと無理がありません。本人が迷わず判断できる数を目安にしてください。

Q.箱に入れるだけだと散らかって見えるのですが、それでいいのでしょうか?

最初の段階ではそれで問題ありません。この方法のねらいは見た目の整頓ではなく、子どもが自分で片付けを最後までやり遂げる経験を増やすことです。慣れてきたら、箱の中の整頓は次のステップとして少しずつ取り入れてください。

Q.園や学校の道具箱にも応用できますか?

応用できます。ロッカーや道具箱の中にも、カテゴリーごとの仕切りとラベルを用意することで、同じ考え方を持ち込めます。担任の先生に相談し、家庭と同じラベルを使うと子どもにとって分かりやすくなります。

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一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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