発達障害のある子どもは、 音・光・匂い・触覚・味覚・温度・人の動き など、学校や園で日常的に触れる刺激に対して、 強いストレスを感じたり、逆に気づきにくかったりすることがあります。
学校・園は、 集団・音・匂い・活動の切り替え・予測不能な刺激 が多い環境であるため、 感覚の困りごとが最も表れやすい場所の一つです。
私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、 学校・園での困りごとは「本人のしんどさ」と「周囲の理解不足」が重なりやすい領域だと実感してきました。
この記事では、児童発達支援士を受講した保護者や支援者の声をもとに、 学校・園で起きる感覚過敏・鈍麻の困りごとと支援のポイントを体系的に整理します。
>外出・公共の場で表れやすい感覚過敏・感覚鈍麻|人混み・音・光・自然環境で起きる困りごとと支援のポイント
目次
感覚過敏・鈍麻に関する調査概要
- 調査名:感覚過敏・鈍麻に関する調査概要
- 調査目的:発達障がい児の感覚過敏や鈍麻の実態を把握するとともに、適切な対応を知るため
- 調査対象:発達障害のある子どもを支援する保護者や支援者
- 有効回答数:90名
- 調査方法:Webアンケート調査
- 募集期間:2025年5月~2026年3月(継続的な調査)
- 調査主体:一般社団法人 人間力認定協会
- 作成責任者:事務局長 望月宏彰
学校・園で起きる感覚過敏・鈍麻の困りごと

実際に児童発達支援士を受講した保護者や支援者からは、次のような経験談をいただいています。
① 校内放送・音楽・ザワザワ音でパニック
「校内放送が鳴ると耳をふさいで部屋から出ようとします」
「ザワザワ音がつらくて、友達を押してしまうことがあります」
学校は音の刺激が多く、 聴覚過敏が最も表れやすい環境 です。
② 給食が食べられない(匂い・味・食感)
「給食の匂いが気持ち悪くて食べられません」
「混ざる味が嫌で、給食はほとんど食べられません」
嗅覚・味覚過敏は、 給食・食育・昼休みの過ごし方 に大きく影響します。
③ 制服・体操服・帽子・靴下が着られない
「赤白帽のゴムができません」
「制服のボタンがつらくて着られません」
触覚過敏は、 学校特有の服装ルール と衝突しやすい特徴があります。
④ 体育・プールが難しい
「プールに虫が浮いていると入れません」
「水が顔にかかるのがつらくて参加できません」
視覚・触覚・温度の刺激が重なる体育・プールは、 複合的な過敏が出やすい活動 です。
⑤ 集団活動・手つなぎ・行事がつらい
「手をつなぐ活動ができず、泣き出してしまいます」
「行事の音や人の動きで疲れてしまいます」
学校行事は、 音・光・人混み・動き が重なるため、負担が大きくなりやすいです。
⑥ 温度に気づかない(触覚鈍麻)
「暑さを感じず、教室でも上着を脱ぎません」
「水筒が空になっていて脱水が心配です」
鈍麻は、 安全面のリスク が高く、学校で特に見逃されやすい特徴があります。
>感覚過敏・感覚鈍麻とは|種類・特徴・生活への影響を総まとめ
学校・園で感覚の困りごとが強く出やすかった場面
| 学校・園で起きやすかった困りごと | 背景にあった感覚負荷 |
| 校内放送やザワザワ音で混乱する | 突然の音刺激や情報量が多すぎた |
| 給食が食べられない | 匂い・味・食感への過敏さが強かった |
| 制服や帽子を嫌がる | 触覚刺激や締め付け感が負担になっていた |
| 体育・プールへの参加が難しい | 水・音・温度など複数刺激が重なっていた |
| 行事や集団活動で疲弊しやすい | 人混みや予測不能な動きが大きな負荷になっていた |
学校・園で起きる感覚過敏・鈍麻とは何か
① 学校・園は「感覚刺激が最も多い環境」の一つです
学校・園には、
- 音(チャイム・放送・ザワザワ音)
- 匂い(給食・教室のにおい)
- 光(蛍光灯・日差し)
- 触覚(制服・帽子・体育)
- 視覚(人の動き・掲示物)
- 温度(教室・体育館)
など、複数の感覚刺激が常に存在 します。
そのため、感覚過敏・鈍麻の子どもにとっては、 困りごとが表れやすい環境 です。
② 学校・園では「予測できない刺激」が多い
- 突然の校内放送
- 友達の大きな声
- 匂いの変化
- 体育の音
- 行事のざわつき
予測できない刺激は、 感覚過敏の子どもにとって最も負担が大きい ものです。
③ 学校・園では「複合的な過敏」が出やすい
学校は、 音 × 匂い × 光 × 人混み × 触覚 が同時に存在するため、複合的な過敏が出やすい環境です。
そのため、 「何がつらいのか分からない」 「行動の背景が見えにくい」 という状況が起きやすくなります。
④ 学校・園では「服装・活動・ルール」が固定されている
- 制服
- 赤白帽
- 体育服
- 上履き
- 給食の時間
- 行事の参加
家庭と違い、 選択肢が少ない環境 のため、感覚の困りごとが強く出やすい特徴があります。
⑤ 学校・園での困りごとは「成長とともに変化する」
保護者や支援者の声でも、
- イヤーマフで参加できるようになった
- 給食が少しずつ食べられるようになった
- プールが屋内なら参加できた
- 制服の素材を工夫して着られるようになった
など、 理解・工夫・経験の積み重ねによる変化 が多く見られました。
学校・園での支援のポイント
① 校内放送・音には“予告+環境調整”
- 放送の時間を共有
- イヤーマフ
- 静かな席
- 別室で待機
突然の音を避けるだけで負担が大きく減ります。
② 給食は“匂い・混ざる味”への配慮
- 少量配膳
- 匂いの少ない席
- 食材を分ける
- 無理に食べさせない
安心して食べられる環境が最優先です。
③ 制服・帽子・靴下は“素材とサイズ”を工夫
- 柔らかい素材
- ゴムを調整
- タグを切る
- 大きめサイズ
学校と相談し、合理的配慮 を得ることが重要です。
④ 体育・プールは“代替案+段階的参加”
- 屋内プール
- 水の量を調整
- 顔に水がかからない方法
- 参加しない選択肢も尊重
無理に参加させる必要はありません。
⑤ 手つなぎ・集団活動は“選択肢を作る”
- 手をつながない参加方法
- 近くで見ているだけでもOK
- 少人数での練習
本人のペースを尊重することが大切です。
⑥ 温度鈍麻には“ルール化+見守り”
- 上着を脱ぐタイミングを決める
- 水分補給の時間を決める
- 教室の温度管理
- 大人がこまめに声をかける
鈍麻は本人が気づきにくいため、 周囲のサポートが特に重要 です。
子どもの学校・園での困りごとを理解するために役立つ学び
学校・園での困りごとは、 発達特性・環境・経験・予測可能性 が複雑に絡み合って起きます。
児童発達支援士では、
- 発達特性を理解するための基礎
- 感覚の違いを捉える視点
- 行動の背景を読み解く力
- 無理のない支援の判断軸
といった、学校・園での支援に役立つ基礎的な理解を身につけることができます。

まとめ:学校・園は“感覚の困りごとが最も表れやすい場所”です
- 学校・園には多くの感覚刺激が存在します
- 音・匂い・光・触覚・味覚などが同時に負担になります
- 予測できない刺激に特に弱いです
- 制服・給食・行事など固定されたルールが負担になります
- 成長とともに変化することがあります
- 支援は“環境調整+合理的配慮”が基本です
学校・園での困りごとを理解することは、 子どもの安心と学びのしやすさを大きく高める第一歩 です。
>感覚過敏・感覚鈍麻のすべて|種類別×シーン別で理解する完全ガイド【家庭・学校・外出の困りごとと支援】
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、 児童発達支援士の受講者アンケートなどに寄せられた 保護者・支援者の実際の声 をもとにまとめています。
感覚過敏・感覚鈍麻の感じ方や困りごとは 個人差 が大きく、 すべての子どもに同じ特徴や変化が当てはまるわけではありません。
感覚に関する困りごとが強く、 生活に支障が出ている場合や安全面が心配な場合 は、 医師・専門機関・学校や園の担当者など、 専門家と相談しながら対応を進めることが大切です。
この記事は、保護者が子どもの困りごとを理解し、 関わり方を考えるための参考情報としてご活用ください。

