指差しは、言葉の発達において非常に重要な役割を持っています。 「見てほしい」「教えたい」「共有したい」という気持ちを表す行動であり、専門的には “共同注意(きょうどうちゅうい)” と呼ばれます。
私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、多くの『言葉の遅れ』に関する悩みの声に触れてきましたが、 「指差しが出ないのですが大丈夫でしょうか?」 という質問は非常に多くありました。
この記事では、 「指差しが出ない理由」「家庭でできる働きかけ」「やってはいけない対応」「専門機関に相談する目安」 を、できるだけ分かりやすくまとめました。
目次
指差しには3つの種類がある
まず、指差しと一言で言っても、実は目的によって種類が異なります。
① 要求の指差し(欲しいものを示す)
「ジュースがほしい」「あれ取って」という意思表示。
② 共有の指差し(見てほしいものを示す)
「ワンワンいたよ」「飛行機だよ」と、大人と気持ちを共有するための指差し。
③ 教示の指差し(相手に教える)
「これはりんごだよ」と相手に情報を伝える指差し。
発達の順番としては、 要求 → 共有 → 教示 の順に育つことが多いです。
特に 共有の指差し は、言葉の発達と強く関係しています。

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指差しが出ない・少ない理由
指差しが出ない背景には、いくつかの要因が考えられます。
人への興味が育ちにくい
大人と一緒に何かを楽しむ経験が少ないと、共有の指差しが出にくくなります。
視線が合いにくい
アイコンタクトが短い場合、共同注意が育ちにくくなります。
言葉の理解がまだ弱い
「見てほしい」「伝えたい」という気持ちがあっても、表現方法が分からないことがあります。
感覚特性が影響している
音や光に敏感で周囲に注意が向きにくい場合、指差しが育ちにくいことがあります。
一人遊びが多い
大人とのやり取りが少ないと、指差しを使う機会が減ります。
家庭でできる働きかけ(年齢別)
1〜2歳:共同注意の“芽”を育てる
見つけたものを大人が指差して共有する
「ワンワンいたね」「飛行機だね」と、大人が先にモデルを見せます。
絵本で「どれかな?」遊び
「アンパンマンどれ?」 → 子どもが視線を向けるだけでもOK。
大人が“ゆっくり・大げさ”に反応する
子どもが何かを見たら、 「ほんとだ!車だね!」 と大げさに反応すると、共有の楽しさが育ちます。
2〜3歳:指差しを“引き出す”段階へ
選択肢を指差しで選ばせる
「りんご?バナナ?」 → どちらかを指差す経験が増えます。
ごっこ遊びで指差しを促す
「次はどれ使う?」 「どっちにする?」 遊びの中で自然に指差しが出やすくなります。
写真・カードを使う
視覚情報があると、指差しが出やすくなります。
3〜4歳:伝える力を育てる
子どもの興味を“言語化”する
「これ見てたんだね」「これ気になったんだね」 と気持ちを代弁すると、伝える力が育ちます。
大人が“待つ”時間を作る
すぐに言葉で説明せず、 「どれのこと?」 とゆっくり待つことで、指差しが出やすくなります。
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やってはいけないNG対応
無理に指を持って指差しさせる
身体的に誘導すると、指差しが“嫌な経験”になってしまいます。
質問攻め
「どれ?」「どれ?」「どれ?」と繰り返すと、プレッシャーになります。
大人が先回りしすぎる
子どもが指差す前に大人が全部察してしまうと、指差しの機会が減ります。
指差しが“育ちやすかった家庭”に共通していた関わり方
| 効果につながりやすかった関わり | 背景にあった理由や効果 |
| 大人が先に指差しを見せていた | “共有する楽しさ”を学びやすくなっていた |
| 子どもの興味に大人が反応していた | 「見てもらえた経験」が増えていた |
| 絵本や遊びで自然に指差しを使っていた | 無理なく共同注意を育てやすかった |
| 大人が少し待つ時間を作っていた | 自分から伝える機会につながっていた |
| 質問攻めや強制を避けていた | プレッシャーが減り自発性が育ちやすかった |
専門機関に相談すべきタイミング
次のような場合は、早めに相談することをおすすめします。
- 1歳半を過ぎても指差しがほとんど見られない
- 視線が合いにくい
- 呼んでも振り向かないことが多い
- 言葉の理解が弱い
- 癇癪やこだわりが強い
療育は早期ほど効果が出やすいことが分かっています。 地域の療育施設は、当ポータルの検索機能から探すことができます。
児童発達支援士の学びが役立つ理由
指差しは、言葉の発達の“入り口”です。 そのため、家庭での関わり方が変わるだけで大きく伸びることがあります。
こうしたときに役立つのが、 子どもの発達を“体系的に理解する軸”を持つこと です。
児童発達支援士では、 子どもの発達の捉え方や、家庭での関わり方の考え方など、 日々の子育てに活かしやすい基礎知識を学ぶことができます。
当協会の資格は、これまでに延べ5万人以上が受講しており、 大学や専門学校でも教材として採用されています。 こうした学びがあることで、 「なぜ今この行動が出ているのか」を落ち着いて理解でき、 家庭での関わり方に迷いが少なくなる方が多くいます。

まとめ:指差しは“コミュニケーションの土台”
指差しは、言葉の発達に欠かせない大切なステップです。
- 大人がモデルを見せる
- 選択肢や遊びの中で引き出す
- 子どもの興味を言語化する
- 必要に応じて専門機関に相談する
これらを積み重ねることで、指差しは自然と育っていきます。
お子様のペースを大切にしながら、 家庭と施設が一緒に支えていける環境を整えていきましょう。

