「周りの子に比べて、うちの子はことばが遅い気がする……」
「2歳を過ぎても単語が出ない、どう関わればいいの?」
保護者さまにとって、お子さまの「ことば」は最も大きな関心事であり、不安の種でもあります。
実は先日、ことばの専門家である言語聴覚士(ST)の渡邊先生に詳しくインタビューをさせていただきました。その中で見えてきたのは、ことばが出るまでには、目に見えない「5つの重要な階段」があるということです。
今回は、そのステップを紐解きながら、ご家庭で今日からできる具体的な関わり方を、一般社団法人人間力認定協会の視点で解説します。
ことばが出るまでの「5つのステップ」
ことばは、いきなり口から出てくるものではありません。ブログやインタビュー動画でもお伝えしている通り、以下のステップを一段ずつ登っていく必要があります。
- 身体の育ちと呼吸
正しい姿勢で座り、しっかり呼吸ができること - 人への関心と共同注意
「あ、あそこにワンワンがいるね」と大人と同じものを見る力 - ことばの理解(インプット)
喋れなくても「リンゴはどれ?」に指を指せること - 伝えたい意欲(アウトプット)
ジェスチャーや声で、自分の思いを届けようとすること - 構音(発音)
最後に、きれいな発音でことばが出る
「喋らせよう」と焦るあまり、いきなりステップ5の「発音」を求めていませんか?まずは、ステップ2の「大人と一緒に同じものを見て楽しむ」ができているかを見守ってあげることが、最も大切な土台作りになります。
>「感覚統合」をわかりやすく解説!子どもの“困りごと”の裏側にある脳の仕組み
日常で「ことばのコップ」を水で満たす4つの工夫
インタビューした言語聴覚士の方も強調されていたのが、「日常のコミュニケーションの質」です。以下の4点を意識してみてください。
① 実況中継と「心の声」の代弁
お子さまの動きをそのまま言葉にします。「あ、赤いブーブー持ったね」「おいしいね」と、今この瞬間の気持ちを代弁してあげることで、お子さまの中で「物」と「ことば」が一致していきます。
② 「5秒」の沈黙が、ことばを引き出す
大人はつい先回りして「バナナ?はい、どうぞ」と渡してしまいがちです。そこをあえて5秒待ってみてください。お子さまが「あ!」と言ったり、指を差したりする「余白」を作ることが、伝えたい意欲を刺激します。
③ オノマトペ(擬音語・擬態語)を魔法のスパイスに
「自動車」よりも「ブーブー」、「歩く」よりも「トコトコ」。リズムのある音は脳に届きやすく、真似しやすいのが特徴です。遊びの中にたくさんの音を散りばめましょう。
④ 「共同注意」を育む遊び
お子さまが興味を持っているものに、大人も一緒になって「うわあ、すごいね!」と驚く。この「同じものを見て、感情を共有する」経験こそが、ことばの成長を爆発させるエネルギーになります。
ことばが“育ちやすかった家庭”に共通していた関わり方
| 効果につながりやすかった関わり | 背景にあった理由や効果 |
| 子どもの興味に大人が寄り添っていた | 「共有する楽しさ」が共同注意につながっていた |
| 日常を“実況中継”していた | 物と言葉が結びつきやすくなっていた |
| 少し待つ時間を作っていた | “伝えたい意欲”を引き出しやすかった |
| オノマトペを多く使っていた | 音のリズムが真似しやすく記憶に残りやすかった |
| 「できた」を一緒に喜んでいた | 安心感がことばの土台になっていた |
Q&A|ことばの悩み・解決のヒント
Q. 指差しはするけれど、言葉が出ません。大丈夫でしょうか?
A. 大丈夫です。指差しは「相手に伝えたい」という強力なコミュニケーション能力の現れです。インプットは十分溜まっている状態ですので、焦らず代弁を続け、お子さまが発する「声(音)」にポジティブに反応してあげてください。
Q. 2歳児健診で様子見と言われましたが、何をすればいいですか?
A. 「様子見」は「何もしなくていい」という意味ではありません。まずは今回ご紹介したような、家庭での「待つ」「代弁する」関わりを強化してみてください。また、言語聴覚士のインタビュー動画を参考に、お子さまが今どのステップにいるのかを観察してみるのもおすすめです。
Q. テレビや動画を見せすぎるのは、ことばに悪影響ですか?
A. 動画そのものが悪というより、コミュニケーションが「一方通行」になることが課題です。動画を見る際も「今の面白いね!」「あそこにゾウさんがいたね」と、大人が横で声をかけ、双方向のやり取りに変えてあげることが大切です。
【まとめ】ことばは「心の繋がり」から生まれる
ことばの遅れに悩むと、どうしても「トレーニング」のような関わりになりがちです。しかし、ことばは本来、「大好きな人に、この気持ちを伝えたい!」という温かい感情から溢れ出すものです。
インタビューしたSTの方も仰っていた通り、まずは「できたこと」を一緒に喜ぶ。その安心感こそが、お子さまのステップアップを支える一番の力になります。
もし、より具体的なステップや「共通する原因」を詳しく知りたい方は、ぜひインタビュー動画(または協会ブログ)も併せてご覧ください。専門的な視点を取り入れることで、今日からの接し方がきっと変わるはずです。
児童発達支援士を志す皆さまへ
「子どもの『困った行動』の裏側にある理由を、科学の視点で解き明かす。――感覚統合の知識を身につけ、お子さまと保護者の心を軽くする『理解ある支援者』として一歩踏み出しませんか?」


