一般社団法人 人間力認定協会 事務局長として、全国の保護者・支援者の方々から日々寄せられる声に触れ、「発達障害のある子どもの不登校」は年々増えていると強く感じています。
本記事では、当協会が保有する一次情報(認定支援士インタビュー集)と、発達支援の一般的な知見を組み合わせながら、不登校になる原因・対応・学校との連携方法を整理しました。 不登校は「親のせい」でも「子どもの甘え」でもありません。背景を理解し、適切な支援につなげるための視点をまとめています。
>学校を休ませる判断に悩む保護者へ|無理をさせる?休ませる?
目次
本記事で紹介している一次情報について
本記事では、当協会が認定する児童発達支援士資格または、発達障害コミュニケーションサポーター資格に合格され、認定支援士に登録された方から寄せられた声を紹介しています。一次情報の詳細は下記のとおりです。
| 項目 | 詳細 |
| 回答者 | 児童発達支援士または発達障害コミュニケーションサポーター合格者 |
| 属性 | 保護者、療育施設スタッフ、保育士、教員など |
| 有効回答数 | 255件 |
| 情報取得日 | 2022年7月~2026年5月 |
| 質問1 | 児童発達支援士の資格を取ろうと思ったきっかけは? |
| 質問2 | 発達障がい児支援をしていて最も辛かったことは何ですか? |
| 質問3 | 発達障害に関する知識を習得したことで、何か変化はありましたか? |
| 質問4 | ご自身と似た境遇で悩んでいる方に何かアドバイスはありますか? |
| 質問5 | 発達障がい児の支援を行う上で大切だと感じていることは何ですか? |
発達障害のある子どもの不登校はなぜ起きるのか

① 感覚過敏・環境ストレスによる負荷
発達障害のある子どもは、音・光・人の多さなど、学校特有の刺激に強いストレスを感じることがあります。
- 体育館の反響音
- 教室のざわつき
- 匂い・光の強さ
これらが積み重なると、登校そのものが「苦痛の場」になりやすいのです。
② コミュニケーションの難しさ
協会に寄せられた支援者の声でも、友達関係のつまずきが不登校の大きな要因として語られています。
「仲良くしたいのに距離感の違いから嫌われてしまい、クラス全員からいじめを受けた」
相手の意図が読み取りにくい、言葉で気持ちを伝えにくいなどの特性が、孤立感につながることがあります。
③ 学習面でのつまずき
読み書き・計算・ワーキングメモリの弱さなど、学習の困難さが自己肯定感を下げ、学校を避ける理由になることもあります。
④ 教員側の理解不足
協会に寄せられた支援者の声では、教員の理解不足が子どもを追い詰めたケースも多く語られています。
「特性を伝えてもダメ出しばかりで、3年間つらかった」
教員の知識差が大きく、誤解や叱責が二次障害につながることもあります。
>行きしぶりが強い子への声かけ|逆効果になりやすい対応と“安心感”を作る関わり方
不登校につながりやすかった“学校生活の負担”の共通点
| 不登校の背景で多かったこと | 子どもに起きていた負担 |
| 教室の音や人の多さがつらい | 感覚過敏による強いストレスがあった |
| 友達との距離感で悩みやすい | コミュニケーションのズレから孤立感が強まっていた |
| 学習のつまずきが続く | 「できない自分」への自己否定感が積み重なっていた |
| 叱責や誤解を受けやすい | 学校が“安心できない場所”になっていた |
| 「行きたくない」が増えていく | 心と体が限界を知らせていた |
不登校が続くときの家庭での対応
① まずは「休むこと」を肯定する
不登校初期は、子ども自身が最も苦しんでいます。 「行かせなきゃ」という焦りは自然ですが、無理に登校させると逆効果です。
② 子どもの困りごとを“翻訳”して理解する
発達特性がある子は、自分の状態を言語化することが難しい場合があります。
- どんな場面でつらいのか
- 何が負担になっているのか
- どの刺激が苦手なのか
これを大人が丁寧に読み取ることが重要です。
③ 家庭内で安心できる環境をつくる
協会に寄せられた支援者の声では「安心できる場所があってこそ伸びる」という声が多数ありました。
「絶対的な味方でいてあげることが大切」
安心感は、再登校・社会参加の土台になります。
④ 生活リズムを整える
不登校が続くと昼夜逆転が起きやすく、さらに復帰が難しくなります。
- 起床・就寝時間を固定
- 朝日を浴びる
- 食事のリズムを整える
これだけでも心身の安定につながります。
学校との連携はどう進める?
① まずは「困りごと」を具体的に伝える
学校側は“見えている行動”しか把握できません。 家庭での様子・特性・苦手な刺激などを、具体的に共有することが大切です。
② 合理的配慮を求める
発達障害のある子は、学校に対して合理的配慮を求める権利があります。 例:
- 刺激の少ない席に変更
- 休憩スペースの確保
- プリントの文字量調整
- 視覚支援の活用
③ 担任だけでなく“チーム”で支援してもらう
担任の理解度に左右されないよう、
- 特別支援コーディネーター
- スクールカウンセラー
- 管理職 など複数の大人と連携することが重要です。
④ 無理な登校刺激は逆効果
「とりあえず来させる」「保健室でもいいから来い」は、発達特性のある子には負担が大きい場合があります。 段階的な復帰プランを学校と一緒に作ることが望ましいです。
>朝になると学校へ行けない子への対応|不安・感覚過敏・疲労との関係
支援機関・療育の活用
① 早期の相談はメリットしかない
協会に寄せられた支援者の声でも「もっと早く相談すればよかった」という声が多数。
「一人で悩む時間はもったいない。専門家の意見が助けになった」
② 家庭だけで抱え込まない
- 発達支援センター
- 児童精神科
- 放課後等デイサービス
- カウンセリング
外部の視点が入ることで、家庭の負担が大きく減ります。
不登校は「失敗」ではなく、子どもからのサイン
子どもは“行かない理由”を言語化できない
発達特性がある子は、
- つらさ
- 不安
- 恐怖
- 感覚過敏 などをうまく説明できません。
そのため「行きたくない」という行動で示すしかないのです。
不登校は“成長のプロセス”にもなる
適切な支援が入ることで、
- 自己理解が深まる
- 得意を伸ばせる
- 生きやすさが増す
- 将来の選択肢が広がる
というケースは多くあります。
>「母子登校」が続く家庭で起きやすいこと|保護者の負担・孤立・子どもの不安を整理
発達特性への理解を深めたい方へ
子どもの困りごとは、発達特性だけでなく、環境・関わり方・本人の感じ方や経験など、さまざまな要因が複雑に関係しています。
そのため、「どう対応すればいいのか分からない」「毎日怒ってしまい自己嫌悪になる」と感じたときは、保護者や支援者だけで抱え込まず、発達支援に関する知識や考え方を少しずつ学んでいくことも大切です。
実際には、
・発達障害や感覚特性に関する書籍を読む
・療育施設や支援機関に相談する
・保護者会や経験者の声を参考にする
・専門資格や研修で体系的に学ぶ
など、さまざまな学び方があります。
大切なのは、「子どもを無理に変える方法」を探すことではなく、子どもの特性や困りごとの背景を理解し、少しでも生活しやすくなる視点を持つことです。
一般社団法人 人間力認定協会の「児童発達支援士」でも、
・発達特性の理解
・行動の背景を読み解く視点
・環境調整(構造化)の基本
・保護者支援やコミュニケーション
など、家庭や支援現場で活かしやすい内容を体系的に学ぶことができます。
「完璧な支援」を目指す必要はありません。
まずは、“なぜこの行動が起きるのか”を知ることが、支援を穏やかに変えていく第一歩になります。

Q&A|発達障害のある子どもの不登校に関するよくある質問
Q1. 不登校が続いたら将来が心配です
A. 不登校経験者の多くは、適切な支援が入ることで社会参加しています。 大切なのは「今のつらさを取り除くこと」です。
Q2. 親が甘やかしていると言われます
A. 不登校は甘えではありません。脳の特性・環境ストレス・人間関係など複合的な要因があります。
Q3. どこに相談すればいい?
A.代表的な相談先には下記があります。
- 発達支援センター
- 児童精神科
- 学校の特別支援コーディネーター
- 自治体の相談窓口
まとめ
発達障害のある子どもの不登校は、本人の努力不足ではなく、環境と特性のミスマッチから生じるものです。 家庭・学校・専門機関が連携し、子どもが安心して過ごせる環境を整えることで、再び前に進む力が育っていきます。
協会としても、引き続き一次情報の収集と発信を続け、保護者・支援者の皆さまの力になれるよう取り組んでまいります。
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、児童発達支援士の受講者アンケートなどに寄せられた保護者・支援者の実際の声をもとにまとめています。
子どもの特性や発達の状況、支援との相性、感じ方には個人差があり、すべての子どもに同じ変化や結果が見られるわけではありません。
支援方法や対応について判断する際は、必要に応じて医師・専門家・支援機関などと相談しながら進めてください。この記事は、保護者や支援者が理解や選択の参考にするための情報としてご活用ください。

