「遊びをやめられない」
「時間になっても動けない」
「こだわりが強く、予定通りに進まない」
時間の切り替えが難しい子は、 “こだわり”と“見通しの弱さ”が重なって、 大人が思う以上に大きなストレスを抱えています。
私は協会の事務局長として、延べ5万人以上の保護者・支援者が学ぶ場の運営に関わる中で、 「時間を守れない」「次の行動に移れない」という悩みを数多く聞いてきましたが、 時間の切り替えは“練習で育つ力”であり、工夫次第で改善しやすい領域 だと感じています。
この記事では、 「時間を守れない理由」「家庭でできる支援」「声かけのコツ」「相談の目安」 を分かりやすくまとめました。
さらに、当協会の調査報告書(2025)から、 「時計活用」が28.6%で最も多かった という独自データも紹介します。
目次
なぜ時間を守れないのか
見通しが立ちにくい
「あとどれくらい?」が分からないと、 終わりを受け入れるのが難しくなります。
今の活動に没頭しやすい
発達障害の特性として、 興味のあることに深く集中する傾向があります。
感覚特性が影響している
音・光・匂いなどの刺激が強いと、 切り替えの負荷がさらに高まります。
言葉で気持ちを整理するのが難しい
「まだやりたい」「終わりたくない」 こうした気持ちを言葉で表現できず、行動に出やすくなります。
実際の家庭で見られたケースと背景
実際に寄せられた保護者や支援者の声
実際に児童発達支援士を受講した保護者からは、次のような声がありました。
「30分のレッスンの中で、もっとやりたい気持ちが強く終わりが分からなかったり、途中で出ていくことがありました。初めから何をするかの絵カードを時系列に置いて掲示し、『終わる時間の時計カード』も一緒に見せました。特に最後を『出席シールを貼り、さよならの歌を歌って終わり』という流れで固定すると、時計カードに納得して時間を確認するようになりました。」
背景と専門的な解説
- 終わりが見えないと、こだわりが強い子ほど不安が増す
- 活動の見通し(絵カード)+終わりの時間(時計カード)が効果的
- 終わり方のルーティン化は「終わること」への安心をつくる
調査で分かった“最も多かった対応”
当協会の調査(有効回答21件)では、 「視覚的支援・時計活用」が28.6%で最も多い という結果が出ました。
つまり、 「時間を“見える化”することが、こだわりの強い子の切り替えを助ける」 ということです。

●調査から読み取れること
こだわりが強く時間を守れない時の対応を尋ねたところ、表のように視覚的支援や時計を活用した支援が多いことがわかりました。事前に時計を見せながら区切りについて説明をするといった回答が複数みられています。
>発達障害の特性に応じた支援方策調査【調査報告書④】|一般社団法人 人間力認定協会
① 時間を“見える化”する
「あと○分だよ」と予告する
予告があるだけで、切り替えの負担が大きく減ります。
タイマー・砂時計を使う
視覚的に減っていく時間は理解しやすい。
時計の針を使って伝える
「長い針がここに来たら終わりだよ」 → 調査でも最も多かった支援。
② 声かけは“短く・具体的”に
- 「そろそろ終わり」より「あと3分で終わり」 の方が伝わりやすい
- 「片付けて」より「ブロックを箱に入れよう」 の方が伝わりやすい
- 「ダメ!」より「次はこうしようね」 の方が伝わりやすい
③ こだわりを“否定しない”
こだわりは、 「安心するための行動」 であることが多いです。
- 「その順番がよかったんだよね」
- 「その服が着たかったんだよね」
- 「まだ続けたかったんだよね」
気持ちを受け止めてもらえると、 切り替えの負担が軽くなります。
④ 代替案を提示する
- 「終わったらジュース飲もうか」
- 「片付けたら絵本読もうね」
- 「帰ったらブロックで遊ぼう」
“終わり”だけを伝えると不安が強くなるため、 “次の楽しみ”をセットで伝える のがポイント。
⑤ 環境調整で“切り替えやすい場”をつくる
刺激を減らす
テレビ・音・人の多さは切り替えの負荷を上げる。
片付けやすい環境にする
「どこに戻せばいいか」が分かると切り替えがスムーズ。
好きな物が視界に入らないようにする
次の活動に集中しやすくなる。
⑥ 予防的対応
- 予定を詰めすぎない
- 事前にスケジュールを伝える
- 苦手な場面を把握しておく
- クールダウンできる場所を用意する
こだわりが強い子は、 「予測できること」が安心につながる ため、 予防的な工夫が特に効果的です。
時間の切り替えが“スムーズになりやすかった”支援の共通点
| 効果につながりやすかった工夫 | 背景にあった理由や効果 |
| 時計やタイマーで時間を見える化した | 「あとどれくらい」が理解しやすくなっていた |
| 終わり方をルーティン化した | “終わる流れ”が予測でき安心につながっていた |
| 声かけを短く具体的にした | 情報量を減らすことで動きやすくなっていた |
| 次の楽しみをセットで伝えた | “終わり”への不安を軽減できていた |
| こだわりを否定せず受け止めていた | 気持ちを理解してもらえる安心感があった |
ABC分析で“時間のつまずき”を整理する
時間の切り替えがうまくいかないときは、 行動の前後を整理するABC分析 が役立ちます。
- A:前の状況(きっかけ)
- B:行動(時間を守れない・癇癪)
- C:後の結果(どうなったか)
例: A「急に終わりと言われた」 B「泣き叫ぶ」 C「終わるのが遅れた」
→ この場合、 A(予告不足)を変える ことで改善しやすい。

※この記事の内容は、児童発達支援士の受講者アンケートに寄せられた実際の声をもとにまとめていますが、感じ方や変化には個人差があります
児童発達支援士の学びが役立つ理由
時間の切り替えが難しい背景には、 発達段階・感覚特性・環境・経験など、 複数の要因が重なっています。
そのため、 「なぜ切り替えが難しいのか」を整理できる“考え方の軸” があると、 家庭での関わりが安定しやすくなります。
児童発達支援士では、 子どもの発達の捉え方や、家庭での関わり方の考え方など、 日々の子育てに活かしやすい基礎知識を学ぶことができます。
当協会の資格は延べ5万人以上が受講し、 大学や専門学校でも教材として採用されています。 こうした学びを通じて、 「時間の切り替えがスムーズになった」 という声も多く寄せられています。

相談すべきタイミングの目安
次のような場合は、 専門機関に相談すると安心です。
「時間が守れず、毎日のように癇癪が起きる」 「園や学校でも対応に困っていると言われる」 「こだわりが強く、生活に支障が出ている」 「言葉の遅れや感覚過敏も気になる」
早めの相談は、 子どもにとっても保護者にとっても負担を軽くします。
まとめ:時間の切り替えは“練習で育つ力”
時間を守れないのは、 決して“わがまま”でも“甘え”でもありません。
- 時間を見える化する
- 声かけを短く・具体的に
- こだわりを否定しない
- 代替案を提示する
- 環境を整える
- 予防的に手を打つ
これらを積み重ねることで、 時間の切り替えは確実に育っていきます。
完璧を目指す必要はありません。 「昨日より少しスムーズだった」 その一歩が、子どもの安心と成長につながります。

