「片づけてと言っても動かない」
「物が散らかりっぱなし」
「片づけの途中で遊び始めてしまう」
片づけの難しさは、決して“性格”や“やる気”の問題ではありません。 私は協会の事務局長として、延べ5万人以上が学ぶ場の運営に関わる中で、 片づけに関する悩みを数多く聞いてきましたが、 片づけは“行動の設計”で改善しやすい領域 だと感じています。
この記事では、 「片づけができない理由」「行動科学に基づく支援」「ゲーム化のコツ」「独自データ」 を分かりやすくまとめました。
目次
Instagramにて動画配信中
片付けができない時の対応をテーマに、事務局長の望月宏彰がInstagramにてライブ配信を行いました。その際の動画をリール動画にて配信しております。下記よりご覧いただけます。
片づけができないのは“能力”ではなく“仕組み”の問題
片づけが苦手な子には、次のような特徴が見られます。
① 何から始めればいいか分からない
「片づけて」という指示は抽象的で、行動に移しにくい。
② 物の分類が難しい
どこに戻すかが曖昧だと、行動が止まる。
③ 注意が散りやすい
片づけの途中で別の物が目に入り、遊びに戻りやすい。
④ 片づけの“成功体験”が少ない
「できた!」の経験が少ないと、やる気が育ちにくい。
実際の家庭で見られたケースと背景
実際に寄せられた保護者や支援者の声
実際に児童発達支援士を受講した保護者からは、次のような声がありました。
「どんなに一緒に片付けてもどんどん散らかってしまう。どこに何をしまうのかすぐ分からなくなってしまうので、一緒に片付けるときにタイマーを使って『どっちが早くあの箱に片付けられるか』をゲームのようにしました。細かく片付けるのではなく、大きな箱に学校のもの、おもちゃなどぐちゃぐちゃでもそのカテゴリーの箱に入れてあればまずはオッケーにしました。」
背景と専門的な解説
- 「どこにしまうか分からない」が片づけの最大の壁
- カテゴリ別の“ざっくり箱”は行動のハードルを下げる
- ゲーム化は「やらされる片づけ」から「自分から動く片づけ」に変わる
協会の独自データ

当協会の調査(有効回答27件)では、 片づけへの対応として、
- 環境・物理的支援:22.2%
- ゲーム化:14.8%
が多い結果となりました。
つまり、 片づけは“環境を整える”+“楽しくする”の2軸が最も効果的 ということです。
>発達障害の特性に応じた支援方策調査【調査報告書④】|一般社団法人 人間力認定協会
家庭でできる片づけ支援

① 片づけやすい“環境”をつくる
片づけは、 「やる気」より「環境」が9割 と言われています。
- “物の量を減らす”
- “分類をシンプルにする(おもちゃは3分類まで)”
- “ラベルを貼る(写真・イラスト)”
- “戻す場所を“見える化”する”
「どこに戻せばいいか」が一目で分かると、 片づけのハードルが一気に下がります。
② 指示は“短く・具体的”に
- ×「片づけて」
- ○”ブロックを箱に入れよう”
- ○”本を棚に戻そう”
行動が具体的になるほど、子どもは動きやすくなります。
>癇癪・パニック・切り替えの難しさを総まとめ|原因・年齢を問わず使える支援方法・独自データ・相談先を専門家が解説
③ ゲーム化で“動きたくなる仕組み”をつくる
片づけは、 「楽しい」になると一気に進む。
- “タイマーで競争する”
- “色別に片づけるゲーム”
- “親子で役割を決めて片づける”
- “片づけたらスタンプ1つ”
ゲーム化は、 行動科学でいう「強化(ほめられる・達成感)」を自然に作れる方法。
④ “一緒にやる”から始める
最初から「自分でやって」は難しい。
- “最初は親が横で一緒に片づける”
- “次に、子どもが1つ、親が1つ”
- “最後は子どもがメインで、親は見守り”
段階的に自立を促すことで、 片づけの成功体験が積み重なります。
⑤ 片づけの“終わり”を見える化する
- “タイマーを使う”
- “片づける量を区切る(この箱だけ)”
- “終わったら次の楽しみを伝える”
「終わりが見える」ことは、 行動を始めるための大きな安心材料になります。
⑥ 片づけの途中で遊び始める場合
- “片づける物を一時的に“見えない場所”に置く”
- “片づける物を種類ごとに小分けにする”
- “片づける順番を決める”
視界に入る刺激を減らすことで、 片づけに集中しやすくなります。
片づけが“進みやすくなった家庭”に共通していた工夫
| 効果につながりやすかった工夫 | 背景にあった理由や効果 |
| 片づけ場所をシンプルにした | 「どこに戻すか」が分かりやすくなっていた |
| ラベルや写真で見える化した | 視覚情報で行動しやすくなっていた |
| 指示を短く具体的にした | 「何をするか」が明確で動きやすかった |
| ゲーム化を取り入れた | “やらされ感”が減り主体的に動きやすかった |
| 親子で一緒に始めた | 成功体験を積み重ねやすかった |
片づけの背景を整理する“ABC分析”
片づけが続かないときは、 行動の前後を整理するABC分析 が役立ちます。
- A:前の状況(環境・刺激)
- B:行動(片づけられない)
- C:後の結果(どうなったか)
例: A「物が多く、分類が複雑」 B「片づけられない」 C「散らかり続ける」
→ A(環境)を変えると改善しやすい。
※この記事の内容は、児童発達支援士の受講者アンケートに寄せられた実際の声をもとにまとめていますが、感じ方や変化には個人差があります
児童発達支援士の学びが役立つ理由
片づけの難しさには、 注意の偏り・感覚特性・環境要因・行動パターンなど、 複数の要素が重なっています。
そのため、 「なぜ片づけが難しいのか」を整理できる“考え方の軸” があると、 家庭での関わりが安定しやすくなります。
児童発達支援士では、 子どもの発達の捉え方や、家庭での関わり方の考え方など、 日々の子育てに活かしやすい基礎知識を学ぶことができます。
当協会の資格は延べ5万人以上が受講し、 大学や専門学校でも教材として採用されています。

相談すべきタイミングの目安
- 片づけが全く進まない
- 物の管理が難しく、生活に支障が出ている
- 忘れ物・時間管理も同時に難しい
- 注意が散りやすく、行動が続かない
これらが重なる場合は、 専門機関に相談すると安心です。
まとめ:片づけは“行動をデザインすれば変わる”
片づけができないのは、 決して“性格”でも“やる気の問題”でもありません。
- “環境を整える”
- “指示を具体的にする”
- “ゲーム化する”
- “段階的に自立を促す”
- “終わりを見える化する”
これらを積み重ねることで、 片づけは確実にできるようになっていきます。
完璧を目指す必要はありません。 「昨日より少し片づけられた」 その一歩が、子どもの自信につながります。


