家庭でもできる運動療育「サーキットトレーニング法」

療育施設でもよく取り入れられている「運動療育」。その中でも代表的な方法のひとつが、複数の運動を順番にこなす「サーキットトレーニング」です。家庭でもできる形にアレンジしてご紹介します。

こんなお子さんにおすすめの運動療育です

  • じっとしていられず、椅子から立ち上がってしまうことが多い
  • 体の使い方がぎこちなく、転びやすい・ぶつかりやすい
  • 順番を守ったりルールに沿って行動することが苦手
  • 運動自体を嫌がり、体を動かす機会が少ない

こうした様子は、本人のやる気や性格の問題ではなく、体の感覚や運動の使い方を育てる経験がまだ十分でないことが背景にある場合があります。運動療育は、こうした部分に遊びを通してアプローチする方法です。

この療育でできるようになること

トンネルくぐり、ジャンプ、バランス歩きなど、複数の運動を順番に回る「サーキット」形式にすることで、体を動かす楽しさを感じながら、同時に「順番を待つ」「ルールに沿って進む」という力も一緒に育てていく運動療育です。特別な器具がなくても、家にあるものでアレンジできます。

サーキットトレーニング法 実践ステップ

運動療育の実践ステップ

Step1:3〜4種類の運動をつなげてコースを作る

クッションの上を渡る、机の下をくぐる、その場でジャンプする、など家にあるものでできる運動を3〜4種類選び、順番に並べます。難しい動きよりも、本人が成功しやすい動きを中心にするのがポイントです。

Step2:順番とゴールを分かりやすく伝える

「1番目はここ、2番目はここ」と、順番とゴールの場所を指差しや言葉で伝えます。可能であれば、コースの絵や写真を見せておくと、より分かりやすくなります。

Step3:まず大人が一度やって見せる

いきなり子どもにやらせるのではなく、大人が先に一通りコースを回って見せます。楽しそうにやって見せることで、取り組むハードルが下がります。

Step4:繰り返し行い、少しずつ難易度を調整する

慣れてきたら、コースの順番を変えたり、運動の種類を増やしたりして変化をつけます。うまくいかない場合は、運動の数を減らすなど難易度を下げて調整してください。

運動療育を行う際の注意点

  • タイムや上手さを競わせない:できた・できなかったで評価せず、最後まで回れたことを大切にする
  • 安全な環境で行う:床に物を置きすぎない、周囲にぶつかる物がないか確認してから始める
  • 兄弟や友達と一緒に行う場合は、順番待ちの練習も兼ねられますが、無理に競争させないよう配慮する

なぜこの運動療育が効果的なのか

名古屋市立の特別支援学校と愛知教育大学による研究では、自閉症児やダウン症児を対象にサーキットトレーニングを用いた集団運動指導を行ったところ、身体活動を通じて自己達成感や自己肯定感が高まり、子ども同士や指導者との関わりにも変化が見られたことが報告されています。

また、岐阜大学の研究でも、発達障害のある子どもに対する運動指導は、体力の向上だけでなく、動きの巧みさや心理面といった非認知スキルにも良い影響を与えることが確認されています。

つまり運動療育は、単に体力をつけるためだけのものではなく、達成感や対人関係の力を同時に育てる手段として、研究の裏付けがある方法です。順番にコースを回るサーキットトレーニングは、その中でも家庭に取り入れやすい代表的な運動療育のひとつです。

CDQ認証施設の中にも、トランポリンや平均台、サーキット運動を取り入れた運動療育を実施しているところが多くあります。見学の際には、どのような運動療育のプログラムが組まれているか聞いてみるのもおすすめです。

サーキットトレーニング法に関するよくある質問

Q. 何歳くらいから始められますか?

年齢の制限は特にありません。歩行が安定してきた年齢であれば、動きの種類や難易度を調整しながら取り入れることができます。

Q. 運動が苦手で嫌がる場合はどうすればいいですか?

無理にやらせる必要はありません。まずは1種類の運動だけから始める、本人の好きな遊び(ボール遊びなど)をコースに組み込む、といった形でハードルを下げてみてください。

Q. 室内でも実施できますか?

できます。クッションやタオル、椅子など家にあるものでコースを作れるため、天候に関わらず室内で取り組めます。

Q. どのくらいの頻度で行うのがいいですか?

週に数回、短時間(5〜10分程度)から始めるのがおすすめです。長時間よりも、無理なく続けられる頻度を優先してください。

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一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長 望月宏彰

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 事務局長
望月 宏彰

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 理事・事務局長の望月 宏彰です。3児の父。「児童発達支援士」など各種資格を通じて延べ5万人以上の支援をサポート。「日本の資格・検定」アワードにて「児童発達支援士(2022年)」および「メンタルヘルス支援士(2026年)」の受賞実績を有しています。 当サイトでは、最新の療育情報や現場で役立つ支援に関する知識、施設選びに役立つ透明性の高い情報を配信しています。なお、本記事は当協会が提供する「児童発達支援士」等の資格講座の受講者アンケート等をもとに、講座を運営する当協会自身が執筆したものです。

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