「すぐに手が出てしまう…」
「順番が守れず、トラブルになる…」
「自分の気持ちをうまく伝えられない…」
こうした悩みを抱える保護者の方は少なくありません。そして多くの場合、それは“性格”ではなく、「ソーシャルスキル(社会生活の力)」の未習得が関係しています。
そこで重要になるのが、療育施設で行われる SST(ソーシャルスキルトレーニング) です。
この記事では、SSTの基本から、実際のトレーニング内容、そして保護者として知っておきたいポイントまで、専門的かつ実践的に解説します。
目次
SSTとは何か?なぜ必要なのか
SSTとは「Social Skills Training」の略で、社会の中で生活するためのスキルを身につけるトレーニングです。
たとえば、以下のような力を育てていきます。
- 相手の話を聞く
- 自分の気持ちを伝える
- ルールを守る
- 感情をコントロールする
- 相手の気持ちを想像する
本来これらは、日常生活の中で自然と身についていくものですが、発達特性のある子どもは、意図的な学びが必要になるケースが多いのです。
SSTは「社会の中で暮らしていくための能力」を高める訓練であり、トラブルの予防や二次障害の防止にもつながるとされています。
一般社団法人 人間力認定協会 SSTスペシャリスト資格より引用
例えば、
- 冗談を真に受けてしまいケンカになる
- 順番が守れず孤立する
- 感情が爆発してしまう
これらは「わざと」ではなく、スキル不足によるものです。
だからこそ、練習によって改善していくことができるのです。
>SSTスペシャリスト資格で療育のプロフェッショナルに|一般社団法人 人間力認定協会
SSTで身につく5つの力
SSTでは、ソーシャルスキルを大きく5つの領域に分けて考えます。
① 集団に参加する力
- ルールを守る
- 役割を果たす
- 集団の流れを理解する
② 言葉で伝える力
- 話を聞く
- 分かりやすく話す
- 質問・会話をする
③ 非言語のコミュニケーション
- 表情を読み取る
- 声の大きさを調整する
- 身振り・距離感を理解する
④ 感情に関する力
- 自分の気持ちを理解する
- 相手の気持ちを考える
- 共感する
⑤ 自分と他人を理解する力
- 自分の特性を知る
- 相手との違いを受け入れる
これらはすべて、「お友だちとの関係づくり」に直結する力です。

実際のSSTトレーニングの流れ
SSTは、ただ注意したり教えたりするものではありません。段階的に“できる形”で学ぶことが大切です。
SSTの基本5ステップ
- 教示(やり方を説明する)
- モデリング(お手本を見せる)
- リハーサル(実際にやってみる)
- フィードバック(良かった点を伝える)
- 般化(日常で使えるようにする)
ここで特に重要なのは、「できていないことを指摘する」よりも「できたことを積み重ねる」ことです。

よくあるSSTの具体例
療育施設では、以下のようなトレーニングが行われています。
「順番を守る練習」
→ ボードゲームや並ぶ活動を通じて学ぶ
「気持ちを言葉にする練習」
→ 「貸して」「やめて」などをロールプレイで練習
「怒りのコントロール」
→ 深呼吸・離れるなどの対処法を学ぶ
「会話のキャッチボール」
→ 質問→回答→リアクションの練習
これらはすべて、実生活のトラブルを減らすための練習です。
問題行動の裏にある“理由”を見る
SSTでは、「なぜその行動が起きるのか」を重視します。
例えば…
- 欲しいものがある → 泣き叫ぶ → 手に入る
→ この経験が行動を強化する
つまり、「わがまま」ではなく、“その方法しか知らない”だけなのです。
だからこそ、
- 言葉で伝える練習
- 待つ練習
- 代替行動の習得
といったSSTが必要になります。
>わがまま?それとも特性?発達障害のパニック・癇癪に「寄り添う」ための3ステップ
SSTで最も大切なこと
「楽しさ」と「習慣化」が最優先
- 指摘ばかりしない
- ゲーム感覚で行う
- 成功体験を積み重ねる
さらに重要なのは、
ソーシャルスキルは一朝一夕では身につかない
という視点です。
- 数ヶ月で変わるものではない
- 何十回・何百回の繰り返しが必要
- 長期的に育てていく力
この理解があるかどうかで、支援の質は大きく変わります。
保護者ができる関わり方
家庭でもできるポイントを整理します。
できたことを具体的に褒める
「今ちゃんと順番待てたね!」
行動ではなく“気持ち”に共感する
「悔しかったよね」
正解を教えるのではなく一緒に考える
「どうすればよかったかな?」
小さな成功を積み重ねる
→ いきなり完璧を求めない
SSTが“身につきやすかった子ども”に共通していた関わり方
| 効果につながりやすかった関わり | 背景にあった理由や効果 |
| 「できた」を具体的に褒めていた | 成功体験が自信につながっていた |
| ロールプレイを繰り返していた | “実際にやる経験”が理解につながっていた |
| 失敗を強く責めすぎなかった | 「また挑戦しよう」という安心感を保ちやすかった |
| ゲーム感覚で楽しみながら取り組んでいた | 継続しやすく習慣化につながっていた |
| 家庭と施設で関わり方を共有していた | 学んだスキルを日常で使いやすくなっていた |
【まとめ】SST(社会生活技能訓練)|友だちとのトラブルを減らすために。療育施設で行われるSSTとは
SSTは、単なるトレーニングではなく、子どもが社会で安心して生きていくための土台づくりです。
- トラブルは“スキル不足”から起きる
- SSTでそのスキルは身につけられる
- 大切なのは「継続」と「楽しさ」
そして何より、子どもは「できない」のではなく「まだ知らない」だけという視点が、支援の出発点になります。
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